イオンネクスト、八王子CFCが本稼働開始 冷凍エリアも自動化
イオンのネット専用スーパー「Green Beans」が10月22日、都内2拠点目の物流施設を本格稼働させた。冷凍エリアの保管・ピッキングを自動化するのは同社として初めてで、国内最大手の小売グループがかけ声で終わらせず、ネットスーパーの物流を実装レベルで工業化しつつあることを示す動きだ。

英国オケード・グループ(Ocado Group)から供与された物流技術をもとにネット専用スーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」を運営するイオンネクスト株式会社は、東京都八王子市に構える2拠点目の顧客フルフィルメントセンター(CFC)が10月22日に本格稼働したと発表した。鉄骨造地上4階建てで、敷地面積は約5万4000平方メートル、延床面積は約4万平方メートル。2023年7月に千葉市に開設した1拠点目の誉田CFC(ほんだCFC)に続く2拠点目となる。
八王子CFCの冷凍エリアでは、オケードが手がける保管・ピッキング自動化システム「AutoFreezer(オートフリーザー)」を同社として初めて導入し、誉田CFCの冷蔵・常温エリアで先行していた自動化を冷凍エリアにも広げた。また、誉田CFCで前年6月に導入した自動ピック&パックロボットや積載ロボットの導入数も、八王子CFCでは最大3倍に拡大するという。冷蔵エリアには新たに、商品を載せた台車を自動搬送するLexxPluss製の自律走行搬送ロボット(AMR)も導入した。
同社によると、冷凍エリアの自動化により、入出庫処理能力は誉田CFCの運用と比較して約2.7倍になる見込み。格子状のグリッド設計による高密度保管で保管に必要な面積を約50%削減する一方、在庫量は約1.5倍に拡大し、品揃えの充実につなげるという。また、冷凍環境下で人が作業する時間を誉田CFC比5%以下まで削減できるとし、施設全体では誉田CFC比で約115%の生産性向上を見込んでいるとしている。
2拠点体制とすることで配送距離の短縮とサービス提供エリアの拡大を図るとイオンネクストは説明する。自動化と並行して、顧客との接点も広げる。10月22日からは「Green Beans Park(グリーンビーンズパーク)」内の受取カウンターで、税抜3000円以上の注文を手数料無料・最短3時間で直接受け取れるサービスを開始した。11月中旬からは会員限定のCFC見学ツアーも始める予定で、展示スペースまでの無料ツアーを週2回、CFC内部を見学できる有料ツアーを月1〜2回開催するとしている。八王子CFCでは豆腐や菓子など地元八王子にちなんだ商品も取り扱うという。
日本のネットスーパーはこれまで、単独で成立する事業というより、実店舗を持つスーパーの集客装置として赤字覚悟で運営されてきた面が強い。小口かつ温度帯の異なる商品をピッキング・梱包・配送するコストは、徹底した自動化なしには採算が合いにくいためだ。イオンネクストが既存倉庫を改修するのではなく、当初からオケードの専用フルフィルメント技術でGreen Beansを構築してきたからこそ、「冷凍処理能力ほぼ3倍」「保管面積半減」といった具体的な効率化の数字を示せる。もっとも、2拠点体制が既存顧客への効率的なサービス提供にとどまらず、Green Beans自体の顧客基盤の拡大につながるかどうかは、次回の業績発表でロボットの性能ではなく、Green Beansの実売上の数字が示すことになる。