ハイアット「アリラ」が日本初進出、鍵を託すのは日本のデベロッパー
箱根に計画される温泉付き客室60室のリトリートが、ハイアットの高級ブランド「アリラ」の日本初進出となる。運営契約ではなく合弁事業という枠組みで、開業はまだ先の話だ。
ハイアット ホテルズ コーポレーションは、高級ブランド「アリラ」を日本に初めて投入する。同社によれば、計画地は富士箱根伊豆国立公園内の仙石原で、施設名は「アリラ 仙石原 箱根」。客室数は60室(うちスイート11室)で、全室に専用の天然温泉浴槽を備えるという。開業目標は2028年としている。
運営契約ではなく、合弁事業

注目すべきは、その体制だ。同社によれば、本件はハイアットが単に運営契約を結ぶ形ではなく、施設を所有し建設する日本のデベロッパー、フジタコーポレーションとの合弁事業だという。国内デベロッパーが、ハイアットの5番目のラグジュアリーブランドの日本導入そのものに直接の持分を持つ形であり、ブランドの日本デビューは、広域展開計画ではなく、この一つの敷地に紐づけられている。
建築の方向性も同じ発想に沿う。設計を手がけたのは隈研吾建築都市設計事務所で、ハイアットは、敷地固有の高低差に沿って建物を配置する、ミニマルな設計思想だと説明する。これは、規模ではなく、風景と静けさを売り物にするリゾートに特有の設計方針といえる。ヨガデッキ、地元産の季節の食材を用いたレストラン&バー、そして「アリラ モーメンツ」と呼ぶ体験プログラムが加わり、同社はこれを、通常の宿泊施設というよりウェルネス志向のリトリートとして位置づけている。
フジタコーポレーション社長の奥村嘉昭氏は「アリラ 仙石原 箱根が、日本のラグジュアリーリゾートの新たな指標となることを期待している」と述べた。
見るべきは客室数よりも工程だ。2028年という目標時期は、この発表がまだ着工前の段階にあることを示している。加えて、箱根という「温泉の本場」は、国内外を問わずウェルネス志向の旅行需要をめぐる競争がすでに激しいエリアでもある。アリラの日本デビューが、単なる早期発表ではなく本当の指標となるかどうかは、この合弁体制が維持され、設計段階から開業までのあいだ工程がこれ以上遅れないかどうかにかかっている。