ジミー チュウの立て直しが加速、マイケル・コースは苦戦続く — カプリ、ヴェルサーチェ売却後初の四半期決算
2ブランド体制となって初の四半期決算は、ブランドごとに明暗がくっきり分かれた。ヴェルサーチェが会計上切り離された中、ジミー チュウは営業利益率がほぼ3倍に伸びた一方、マイケル・コースの苦戦は続く。

カプリ・ホールディングスが8月5日、2ブランド体制となって初めての四半期決算を発表した。ヴェルサーチェを昨年12月2日にプラダグループへ売却して以降、初めての本決算となる。投資家が注目していた明暗は、ブランドごとにくっきりと分かれた。ジミー チュウの立て直しが加速する一方、マイケル・コースの苦戦は続いている。
6月27日締めの四半期の売上高は7億6900万ドルで、前年同期比3.5%減(為替影響を除く実質ベースでは4.1%減)だったと、同社が規制当局への提出書類で明らかにした。マイケル・コースの売上高は7.1%減の5億9000万ドル。地域別ではアジアを除く全域が減収となり、アメリカスは9.9%減の3億7200万ドル、欧州・中東・アフリカ(EMEA)は5.3%減の1億4200万ドルだった一方、アジアは5.6%増の7600万ドルだった。対照的にジミー チュウは10.5%増の1億7900万ドルで、アメリカスが26.1%増と大きく伸びたほか、EMEAとアジアも増収となった。
利益率の中身
注目すべきは営業利益率だ。ジミー チュウの営業利益率は前年の2.5%からほぼ3倍の7.3%に上昇し、営業利益も400万ドルから1300万ドルへ拡大した。グループ全体の売上総利益率は200ベーシスポイント改善して65.0%となったが、同社はこれを「プロパー消化率の向上と関税負担の低下」によるものと説明した。値引きに頼らず定価で売り切る力がついてきたことを示す数字であり、健全なラグジュアリービジネスと単に忙しいだけのビジネスを分ける規律そのものだ。一方マイケル・コースの営業利益率は9.9%から9.3%へ低下しており、売上総利益率自体は改善しているだけに、別のコスト圧力を抱えていることをうかがわせる。
マイケル・コースの減収幅には、実態より小さく見せている要因もある。卸売出荷の一部、約1000万ドル相当が計画より前倒しで当四半期に計上されたと同社は説明しており、これを除けば実質的な減収幅は8.8%程度に近づく。
増えているのは店舗ではない
両ブランドとも、出店より閉店のペースが上回っている。マイケル・コースの店舗数は662店で、前年の695店から減少。ジミー チュウも209店で、前年の217店から減った。店舗当たりの生産性は開示されていないが、店舗網を縮小しながら減収が続くマイケル・コースと、同じく店舗を減らしながら増収を続けるジミー チュウという対比は、資本を「機能しているブランド」へ振り向けている構図と整合的だ。
カプリは日本単独の数字を開示しておらず、アジア全体の数字に含めている。そのアジアが、マイケル・コースにとって唯一の増収地域だった点は、floortokの読み筋として重要だ。両ブランドの日本の旗艦店や百貨店催事は、記録的なインバウンド消費を2年にわたって吸収してきた市場の中にある。欧米の本国需要が弱まるほどブランドはアジア需要への依存を強めることになり、それは日本での接客や在庫配分の巧拙が業績に与える影響をいっそう大きくする。この点は今回の開示からは読み取れず、地域別開示がさらに細分化される際に注視したい。
カプリ・ホールディングスの会長兼最高経営責任者(CEO)、ジョン・D・アイドル氏は「第1四半期の業績を心強く思う。当社の想定を上回るものだった」と述べた。
通期見通しとしてカプリは、売上高約34億ドル、営業利益約1億7000万ドル、希薄化後1株当たり利益約2.15ドルを示した。この前提には、マイケル・コースが売上高約27億7000万ドル(営業利益率は10%台前半)で着地し、ジミー チュウは売上高約6億3500万ドルまで伸びるものの、今四半期の急伸にもかかわらず営業利益率は1桁台前半にとどまるとの見立てが含まれる。同社は当四半期に自社株約260万株を5000万ドルで買い戻しており、自社株買い枠は8億7100万ドル残っている。
この見通しに織り込まれた賭けは明快だ。規模ではマイケル・コースの3分の1に満たないジミー チュウに、本格的な収益力への成長を求め続ける一方、マイケル・コースはキャッシュ創出と店舗網縮小のマネジメント対象として扱う。この組み合わせがカプリ全体の数字を減収から増収に転じさせられるかは、ジミー チュウの勢いが今四半期だけの好調で終わらないかどうかにかかっている。
前年同期比(%)