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大丸松坂屋、嵐山に初の独立型アートスペース「Arashiyama Collective」を開業

J.フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋が、売場を持たない独立型のアート拠点を来春、京都・嵐山に開く。小売の現場を離れた文化施設でも自社ブランドの訴求力を広げられるか、という賭けだ。

嵐山の竹林と川のほとりに立つ二階建ての木造ギャラリーへ、シルエットの来訪者が歩いていく様子を描いたイラスト。
イラスト:floortok.com

大丸・松坂屋を傘下に持つJ.フロントリテイリングの大丸松坂屋百貨店は、2027年4月に京都・嵐山で独立型のアートスペース「Arashiyama Collective(嵐山コレクティブ)」を開業すると発表した。物販フロアを持たない施設としては同社初の試みだという。所在地は京都市右京区嵯峨天龍寺芒之馬場町7-1で、JR嵯峨嵐山駅、阪急嵐山駅、嵐電嵐山駅のいずれからも徒歩圏内だとしている。

建物は木造2階建てで、総延べ面積は約215平方メートル。1階は約112平方メートルのオープンギャラリー、2階は約104平方メートルで、招待または紹介がある場合のみ入ることができるという。同社は「共創・継承・越境」の3つの軸を掲げ、嵐山の歴史や伝統的な美意識と結びついた文化交流の拠点として位置づけている。

空間デザインは建築家・石田建太郎氏が率いるKentaro Ishida Architects Studio(KIAS)が担当する。石田氏は、同じく2027年4月頃の開業を予定する「くるくるフィールズミュージアム」も手掛けているという。ネーミングとビジュアルアイデンティティは香港・東京を拠点とするクリエイティブエージェンシー、Eight Partnershipが手掛けた。ロゴは嵐山の竹林を想起させるデザインで、周囲の山々を表すマークと、人々が集う様子を表すマークから構成されるという。

開業時の展覧会は、時間や生命をテーマにした作品で知られる現代美術家・宮島達男氏の個展で、東京のギャラリー、SCAI THE BATHHOUSEが協力するという。オープニング以降の展覧会ラインアップは年明け以降に発表予定で、投資額は明らかにされていない。

大丸松坂屋は、2030年に向けて「価値共創リテーラーグループ」への転換を掲げており、既存のアート系ウェブメディア「ARToVILLA」や新人作家を支援する「Ladder Project」の延長線上に今回の施設を位置づけている。ギャラリーの新規開業そのものより注目すべきは、百貨店の投資先がどこまで広がったかという点だ。同社は1717年に京都・伏見で創業し、京都を「美と意匠を学び育んできた特別な土地」と位置づけており、物販の裏付けを持たないブランドと立地への賭けと言える。本業は今も売場での販売で成り立つ会社にとって、レジのない施設の採算をどう測るのか——集客なのか、ブランドへの好意なのか——同社はまだ明らかにしていない。