百貨店は数字で勝っている。だが、持続を決めるのはフロアだ
小売は伸び、百貨店が牽引している。残された問いは、その回復が「集客」なのか「利益」なのか、だ。
2026年4月、日本の小売販売額は前年同月比2.1%増。日本百貨店協会によれば、百貨店はそれを上回る5.2%増と、市場全体を上回るペースで伸びた。長らく「斜陽」と切り捨てられてきた業態だが、百貨店はいま、少なくとも数字の上では勝っている。
集客は、利益ではない

注意すべきは、その成長がどこから来ているかだ。インバウンドの免税に牽引された回復は、次の為替の動き一つで——あるいは次の制度変更一つで——去りうる回復でもある。11月からは免税制度が「出国時還付」方式へと移り、その場での値引きはカウンターから消える。値引きの上に築かれた需要とは、いわば「借りている」需要だ。
持続可能な代替策は、フロア自身が生み出す利益だ——接客販売、オーダーメイド、お直し、ラウンジ。来店を関係性に変え、関係性を継続的な支出に変えるサービスである。それらはすべて「フロアの判断」だ。もう一本の什器ではなく、フィッティングルームやサロンに割く面積、という判断である。
数字は、その店が良い一カ月を過ごしたことを教えてくれる。フロアプランは、良い十年を過ごせるかどうかを教えてくれる。
月次売上だけでなく、改装の発表を見たい。サービスや高単価の接客販売へと面積を動かしている店は、値引きが去る日を織り込んでいる。インバウンドの波にただ乗っているだけの店も、実は同じ日を待っている——まだ認めていないだけだ。