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フィールドノート

インバウンドは戻った。だが、その下の地図は変わった

訪日客数は再び過去最高に迫る。だがその内訳は、各フロアが想定して設計されたものではない。

広い商業空間を、ゆるやかな流線と一本の金色の弧で描いた、温かみのあるモノトーンのイラスト。
イラスト:floortok.com

日本政府観光局(JNTO)によれば、2026年5月の訪日外客数はおよそ356万人。3月の362万人という過去最高に続く数字だ。表向きの数字を見れば、インバウンドの機関は再び全開で動いている。

だが見出しは、ある入れ替わりを覆い隠している。4月の訪日客数は、中国からの旅行が後退したことで前年同月比5.5%減となった。その穴を埋めてきたのが、韓国・米国などからの客だ。人数の規模は同じでも、顔ぶれは同じではない。

異なるパスポート、異なるバスケット

この入れ替わりは、売り場で効いてくる。中国の団体客に取って代わる客層は、同じカテゴリーを、同じ単価で、同じフロアで買うわけではない。時計やハイジュエリーは、革小物やビューティとは異なる動きをする。韓国の週末客と、中国の贈答目的の旅行とは、決して同じ「明細」ではない。

それでも、レジは鳴っている。髙島屋は免税売上が前年同月比6.9%増、既存店売上が9.1%増と発表した。J.フロント リテイリングは、大丸松坂屋の免税売上が10.3%伸び、百貨店事業の売上を4.6%押し上げたとした。回復は本物だ。問われているのは、それがどのフロアに着地しているか、である。

規模は同じでも使い方の違う客層は、フロアを設計できる「回復」ではない。毎月読み解かねばならない「回復」だ。

客数だけでなく、カテゴリー構成を見たい。実際に来ている客層に照らしてフロアを読み直し、新しい客層が買うカテゴリーへと面積を動かせる店は、2年前の客層向けのまま据え置いた店を、収益で上回るだろう。