免税消費に支えられ増収が続く日本の百貨店——例外は1社
三越伊勢丹、高島屋、エイチ・ツー・オー リテイリングの6月の百貨店売上は、各社の発表によればいずれも増収だった一方、J.フロント リテイリングの大丸松坂屋は免税売上が約2割伸びたにもかかわらず4カ月ぶりの減収となった。

日本百貨店協会(JDSA)によると、全国の百貨店売上高は2026年5月、既存店ベースで前年比8.3%増の4683億9000万円となり、5カ月連続の増収となった。東京など全国主要10都市が9.8%増と伸びを牽引し、その他7地区も3.1%増と7カ月ぶりのプラスに転じた。同協会の6月分の全国集計はまだ公表されていない。JDSAは例年、翌月25日前後に発表しており、6月の数字が出るのはあと2~3週間先になる見込みだ。そのため以下の6月分は、業界全体の集計ではなく、4社それぞれが自ら開示した月次実績に基づく。
5月の数字を押し上げたのは免税消費だった。訪日客向けの免税売上高は16.7%増と3カ月連続の増加で、約496億円に達した。免税購入者数は6.3%減ったが、客単価が24.5%伸び約9万8000円となり、その落ち込みを補った形だ。同協会が示した国・地域別の内訳では、中国人観光客の消費が鈍く、免税売上は約5%減、購入者数も約3割減った一方、香港・台湾・韓国・マレーシア・シンガポールからの消費は大きく伸びた。国内客の消費も好調で、7.4%増と10カ月連続のプラスとなったとJDSAはしている。
さらに3社が増収
前年同月比(%)
三越伊勢丹ホールディングスが7月1日付けで開示した自社の月次実績によると、6月の国内百貨店売上高は前年比5.6%増と6カ月連続のプラスだった。店舗別では伊勢丹新宿店が12.8%増と最も伸び、三越日本橋店が7.4%増、三越銀座店が6.1%増で、都心の主力3店舗を合わせると8.5%増となった。一方、札幌・仙台・名古屋の地方グループ店はほぼ横ばいか減収だった。同社によれば、海外顧客の売上高は33.3%増と大きく伸びたが、これは客数の増加というより、客単価の上昇によるもので、JDSAが示した全国的な傾向と同じ構図だ。
同じく7月1日付けで開示された高島屋の月次営業情報では、6月の国内百貨店売上高は4.1%増だった。免税売上高は32.4%増となったが、内訳を見ると伸びのほとんどは購買力の上昇によるものだとわかる。訪日客の客数はわずか1.5%増にとどまった一方、客単価は30.4%伸びた。
阪急・阪神の両百貨店を運営するエイチ・ツー・オー リテイリングは、自社の売上速報で6月の売上高が10.5%増だったと明らかにした。4カ月連続の2桁増収で、月の初めと終わりに台風が直撃したにもかかわらず達成した数字だという。阪急うめだ本店が17.1%増と牽引し、6カ月連続で単月の売上として過去最高を更新した。阪神梅田本店は10.9%増、支店はほぼ横ばいの0.6%増だった。免税売上高は4カ月連続で約3割の増加となったが、同社によれば、中国人観光客に限った消費額は約3割減った一方、それ以外の海外顧客(中国人客の一部を含む)の消費が約4割伸び、全体としての免税売上の伸びを支えた。
1社だけの例外
この流れに反したのがJ.フロント リテイリングの大丸松坂屋だった。同社の売上速報によると、6月の百貨店事業の売上高は合計0.8%減となり、4カ月ぶりの減収に転じた(大丸松坂屋の既存店のみでは1.4%減)。J.フロントは、前年同月より休日が1日少なかったこと、前年にあった近隣の博覧会場による押し上げ効果がなくなったこと、うめだ本店の売り場面積縮小を要因として挙げている。注目すべきは、同社の免税売上高自体は速報値で23.3%増と伸びていることだ。購入者数は12.3%減ったものの、ラグジュアリーブランドへの需要の強さから客単価が40.7%上昇した。免税を除いた国内売上高は4.8%減った。全店舗が振るわなかったわけではなく、京都店は10.7%増、大丸博多店は11.5%増、名古屋の松坂屋は固定テナントの売上を含めた取扱高で16.3%増となっている。
今回の顔ぶれには、もう一つ「空白」がある。そごう・西武は2024年2月に月次売上高の発表を取りやめて以来、比較できる数字を公表しておらず、上記4社と並べて論じることができない。
本当に動いているもの
ここまでの4社の数字を並べると、今月の増収を支えているのは国内の地力ではなく免税消費であることが見えてくる。その裏付けとなるのがJ.フロントの数字だ。免税売上高が23.3%伸びていたにもかかわらず、国内の地力が弱まっただけでグループ全体が減収に転じた。floortokはすでに、この依存には賞味期限があると指摘してきた。11月から、日本は訪日客がその場で受けてきた免税措置を、出国後に払い戻しを受ける方式へと切り替える。購入と免税還付の間には、新たな一手間が挟まることになる。今回登場した4社はいずれも、その手続きの壁が試そうとしている同じ免税消費の強さに支えられている。J.フロントの今回の数字は、免税消費が伸び続けていても国内の地力が弱まれば何が起きるかを、一足先に示したにすぎない。