8月、中国の穴埋めが尽きた 中国以外の市場の伸びはひと月で半減
JNTOの8月の訪日外客数から中国を除くと、その他の市場の合計は11.3%増で、7月の22.4%増から半減した。全体を横ばいから9.6%減に転じさせたのは、中国の新たな落ち込みではなく、台湾と香港を中心としたこの減速である。

日本政府観光局(JNTO)が9月16日に公表した8月の訪日外客数は309万8900人と前年同月比9.6%減で、floortokは翌日に報じた。中国政府の訪日自粛の呼びかけで中国が59.0%減、14市場が8月として過去最高という内容だった。もう一度見ておきたいのは、JNTOが表に載せていない数字だ。中国を除くと、その他の市場からの訪日客は8月に前年の240万9659人から268万900人へ11.3%増えた。7月には同じ集団が246万2554人から301万3900人へ22.4%増えていた。7月に全体を横ばいに保っていた穴埋めが、ひと月で半分になった。当編集部の見立てでは、8月がマイナスに転じた理由は中国の数字そのものより、ここにある。
減速は二つの市場に集中している。台湾は7月の26.4%増から8月は7.3%増(66万6000人)へ、香港は54.8%増から9.4%増(24万7300人)へ。韓国は7月の31.9%増に対し8月も28.7%増(85万500人)とペースを保ち、米国は3.3%増から1.5%増に鈍った。JNTOの市場別解説は、東アジア3市場の航空便と台湾のクルーズ船に台風の影響があったとしつつ、継続する訪日需要と座席供給の増加を挙げている。東南アジアは事情が違う。JNTOは夏場をこの地域の訪日需要が落ち着く時期と位置づけ、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナムについては競合先としての訪中旅行の人気が続いていると指摘する。タイは9.3%減、フィリピンは11.6%減、ベトナムは7.5%減だった。足し算は容赦ない。中国で消えた60万人を埋めるには、その他の市場が4分の1増える必要がある。8月に増えたのは9分の1だった。
残った客と、その行動
JNTOの表によると、1〜8月の累計訪日外客数は2762万6300人で前年同期比2.7%減。中国は累計290万4600人と前年の671万1851人から56.7%減る一方、韓国は742万300人(21.2%増)、台湾は540万2000人(19.8%増)に達した。1年前、中国は8月として他を大きく引き離す最大市場だったが、今年8月は韓国、台湾に次ぐ3位だった。来ている客は長く滞在している。観光庁の7月の宿泊旅行統計では、韓国人と台湾人の延べ宿泊者数がそれぞれ31.4%増、香港が54.3%増となる一方、中国人は43.0%減だった。
免税売り場にとっては、国境よりましな状況だ。残った客が一人当たりの支出を増やしているからだ。日本百貨店協会は7月の会員店の免税売上高が25.5%増となり、香港、韓国、台湾がけん引したと報告した。春以来floortokが書いてきた構図そのものである。中国の団体客が減り、為替の追い風を受けた東アジア各地の個人客が増え、買い物かごはバッグ、時計、宝飾に寄っている。8月は、この足し算が国境で初めて合わなくなった月だ。レジで合い続けるかどうかは、9月25日から出てくる百貨店各社の8月の数字が答えを出す。7月に急伸した台湾と香港こそ、免税売り場が頼りにしていた需要だった。
暦はこの先、いったん有利になってから厳しくなる。2025年9月は326万7228人と昨年で2番目に少ない月だったため、次の比較は楽になる。一方2025年10月は389万6524人と最多で、その月初には中国の国慶節連休が重なる。足し算を変えうるのは二つ。中国政府の注意喚起の解除で、これについてJNTOの発表に手がかりはない。もう一つは11月1日の免税制度のリファンド方式への移行で、こちらは何人が来るかではなく、来た客がレジで何をするかを変える。
前年同月比(%)