floortok

Journal

·
フィールドノート

売上報告業務の非効率が問われる——日本SC業界のDX課題

日本ショッピングセンター協会が東京・大阪で開催する勉強会は、売上報告業務の将来的な廃止を視野に入れたもの。人手不足が深刻化するなか、SC業界のDX推進がどの段階にあるかを示す指標となっている。

編集イラスト — a quiet conference room in a modern Japanese office building, rows of empty chairs facing a presentation screen, late-afternoon light through shoji-style blinds。
イラスト:floortok.com

日本ショッピングセンター協会(JCSC)のDX委員会は、売上報告業務の担当者を対象とした会員限定フォーラムを、2026年12月4日に東京、同月11日に大阪で開催する。参加費は無料で、ディベロッパー・テナント双方に門戸を開いており、リース関係の両当事者を同じ場に集める意図が明確に示されている。

注目すべきはその問題設定だ。JCSCは2024年5月に「売上報告の効率化に向けた提言」を公表しており、今回のフォーラムが掲げるテーマ——「売上報告業務ゼロの未来を描こう」——は、段階的な業務改善を超えた構造的な問い直しを示唆している。報告項目の削減にとどまらず、現行モデルそのものの再考が視野に入っている。

背景にあるのは人手不足だ。協会によれば、人員確保の困難はSC業界全体で深刻な経営課題となっており、テナントからの定期的な売上報告業務を従来どおりの人件費で維持することが難しくなっている。日本のSCにコンセッションを持つ外資系ラグジュアリーブランドにとっても、業界全体での報告様式の簡略化や自動化は、双方のバックオフィスリソース配分に直接影響しうる問題である。

昨年度の勉強会では、他社の取り組みを参考にできたという声や、同業担当者との意見交換が有益だったという反応が多く寄せられた。課題が一部の事業者にとどまらず、業界横断的に共有されていることを示している。今年度は事例紹介に加え、標準化案を先行導入した企業の報告と参加者間の交流時間を設ける形式に充実させている。

注目点

JCSCが同業学習の場から、改訂された業界標準の策定へと踏み込むかどうかが焦点となる。2024年の提言を踏まえ、報告様式の簡略化や自動化に関するプロトコルが正式に策定されれば、ラグジュアリーハウスのリース交渉担当者は、既存のコンセッション契約が報告書式を契約上どの程度明示しているかを確認し、再交渉の要否を検討する必要が生じる。12月の開催後にJCSCから何らかの発表があるか、注視したい。