宝飾・時計が続伸、日本の百貨店で日用品売上は足踏み
日本百貨店協会によると、6月の全国百貨店売上高は前年同月比2.3%増と6か月連続のプラスとなったが、その伸びを支えたのはほぼ宝飾・時計とインバウンドの免税売上に限られ、天候不順が響いた国内売上は11か月ぶりに前年を下回った。

日本百貨店協会が7月24日に公表した6月の全国百貨店売上高(速報)によると、売上高は前年同月比2.3%増となり、6か月連続でプラスを維持した。対象となった加盟68社172店舗(前年から2社6店舗減)の売上高総額は4687億円に上った。
もっとも、この数字の内側では地域差が広がっている。同協会が集計する10都市(東京・大阪・名古屋など)は4.0%増となった一方、それ以外の7地区は3.4%減と2か月ぶりのマイナスに転じた。全国の国内売上(インバウンドを除く)は0.2%減と 11か月ぶりに前年実績を下回ったが、協会はその背景として梅雨や台風による天候不順で入店客数が6.7%落ち込んだことを挙げている。
宝飾・時計が牽引役に
この伸びの大半を説明するのが、ただ一つのカテゴリーだ。宝飾品や高級時計を含む「美術・宝飾・貴金属」は全国で22.3%増と 11か月連続のプラスとなり、東京地区に限ると 28.3%増、こちらも 11か月連続の増加が続く。この一本柱が「雑貨」全体を全国で10.6%増へと押し上げた一方、他の雑貨の内訳はおおむね横ばいか減少だった。対照的に衣料品は全国で0.1%減と 5か月ぶりのマイナス。例年より低めの気温で盛夏商材の動きが鈍かったことが響いた。食料品も物価上昇や入店客数減の影響で2.6%減となり、 6か月ぶりの前年割れとなった。
インバウンド需要も伸びを後押しした。訪日客の購買動向を映す免税売上高は29.8%増の約509億円となり、4か月連続のプラス、全体に占める比率は10.9%に達した。一方で免税適用となる購買客数自体は前年同月比0.5%減と8か月連続でマイナスが続くが、減少幅はこの間で最も小さかった。客単価は30.4%増加した。中国からの購買客数は約25%減った一方、円建ての売上高は約16%増と7か月ぶりにプラスに転じ、東南アジアや欧米からの客は購買客数・売上高ともに増加した。協会が繰り返し挙げる背景は、円安基調の継続である。
K字型の6月
この発表の二つの面を並べてみると、見えてくるのは「百貨店が回復している」というよりも「百貨店の中でも富裕層向けの部分だけが回復している」という構図だ。宝飾品や時計は、floortokの4P(人材・商品・演出・販促)の枠組みで言えば典型的な「商品」戦略の勝ち筋であり、定価販売・値引き抑制型のカテゴリーは、天候が悪くても買い続ける顧客さえいれば伸びる。協会は国内の旺盛な購買意欲の背景として株高を挙げ、夏のボーナス時期に合わせた「自分へのご褒美」需要にも言及している。これは値引きではなく「機会づくり」による販促の効果だ。一方、衣料品や食料品のような日用カテゴリーは来店客数に業績が左右される薄利多売型のビジネスであり、雨がちな6月はそのまま客足減に直結した。百貨店にとってのリスクは、これが6月限りの特殊要因ではなく、いまの日本の消費構造そのものである可能性だ。高マージンの宝飾・時計という細い層が売上全体を牽引する一方で、その下にある量販フロアは弱含みのままという構図である。同じ発表の中で示された東京地区の7月速報値を見ても、この二極化が縮まる気配はない。7月16日時点の売上高は前年比12.2%増と、高額品と免税売上が引き続き牽引している。
前年同月比(%)