JR西日本SC開発とKDDI、商業施設開発の検討期間を4カ月から最短1日に短縮するAIサービス「KDDI Market Compass」を提供開始
ルクア大阪などを手がけるJR西日本SC開発が、KDDIと共同で開発したAIサービスを開始した。両社によれば約4カ月かかっていた商業施設の商圏・テナント戦略の検討を最短1日に短縮できるという。個別プロジェクトの話というより、開発事業者が自社のノウハウを商品化する動きとして読める。

JR西日本グループの商業施設開発会社であるJR西日本SC開発株式会社は、KDDI株式会社と共同で、商業施設開発向けのAI活用型分析サービス「KDDI Market Compass」の提供を8月20日に開始したと発表した。同日、PR TIMES経由でリリースが配信された。
同サービスは、KDDIが持つ位置情報・人口動態データと、JR西日本SC開発が長年培ってきた商業施設開発のノウハウを組み合わせ、商圏や人流を分析した上で、施設コンセプトやターゲット顧客像、テナント戦略を導き出す。商圏データを基にした来街者ペルソナの生成や、消費者ニーズを掘り起こすための模擬インタビュー機能も備えるという。
最大の特徴はスピードだ。従来は複数の社内部門や外部調査会社との連携を経て約4カ月を要していた検討プロセスを、検証の結果、最短1日で実施できることを確認したという。JR西日本SC開発の執行役員である舟本恵氏は、消費者ニーズが多様化する中、商業ディベロッパーは顧客ニーズとテナントを最適に結び付けるプラットフォーム型ビジネスへの進化を求められていると述べている。
JR西日本SC開発はルクア大阪やバルチカ03などの商業施設を運営する。新サービスは専用サイトを通じて提供され、商業不動産デベロッパーをはじめとする不動産開発業界向けだとしているが、料金は明らかにしていない。
このニュースの本質は、ツールの機能そのものより、JR西日本SC開発が何を売り出したかにある。商業施設の開発事業者自身が、社内で培ってきた立地分析のノウハウを他の開発事業者向けの商品として外販する動きであり、これまで高額なフィールド調査や外部コンサルティングに頼っていた位置情報の部分をKDDIが担う構図だ。「4カ月を1日に」という主張が実務でも成立するなら、大手だけでなく中小の開発事業者も、出店を決める前に高度な商圏分析を利用しやすくなる可能性がある。
ただし、このツールが解決しないのは、分析だけでは埋まらない日本の商業不動産の部分——地権者との関係構築やテナント交渉——であり、数字がどれだけ早く出ても、そこには依然として年単位の時間がかかる。