441店舗の飲食チェーンが契約管理をデジタル化——新リース会計基準が後押し
串カツ田中・PİSOLAを展開するユニシアホールディングスが、新リース会計基準の強制適用を前にSansanの契約管理基盤を採用。多店舗F&Bオペレーターの契約管理に変化の兆しが見える。

今回の導入を後押しした主因は、業務効率化よりも規制対応にある。2027年4月以降に開始する事業年度から、上場企業等を対象にリース取引の原則全件を貸借対照表へ計上することが義務付けられる。全国441店舗を運営するユニシアホールディングスにとって、これは大量の店舗賃貸借契約に記載された賃料・契約期間・解約条件を正確に把握し、継続的に管理する体制の構築を意味する。Sansanによれば、こうした対応の必要性が、グループ会社である串カツ田中・ピソラを含むContract One導入の主要な判断材料となった。
コンプライアンス対応の背景には、日常の運用課題も存在する。これまで同社では、紙の契約書を各部署が分散して管理していた。この体制では、請求書と契約内容の照合や更新期限の追跡に多くの手間を要し、賃貸借契約の解約通知期限を見落とすリスクも払拭できなかった。同社の管理部 法務・コンプライアンス課は、賃貸借契約には長期にわたる期限が設定されるケースが多く、期日の見落としが事業に与える影響は大きいと指摘している。
Contract Oneは、紙・電子を問わず契約書をクラウド上に一元集約し、賃料や契約期間といった重要項目をAIが自動抽出する。さらに期日通知機能により、担当者への見落とし防止アラートも提供される。Sansanが採用するのはAIと人による補正を組み合わせたハイブリッド方式で、会計処理に求められる精度を確保する点をユニシア側の担当者も評価している。法務・経理・監査の各部門が、グループ全社の契約書を一つの検索可能なデータベースで参照できる体制が整う。
今回の事例が示す含意は、一飲食チェーンの問題にとどまらない。小売・サービス業を含む多店舗型オペレーター全般が同じ2027年の期限に直面しており、多くの企業が紙中心・部署分散という類似した出発点にある。ユニシアの取り組みは、新リース会計基準への対応が事実上「契約のデジタル化プロジェクト」と表裏一体であることを示している。テナントへのリース契約構造化を支援する不動産専門家にとっても、機械判読しやすい契約条件の整備が実務上の考慮事項として浮上しつつある点は注目に値する。
今後の注目点
2027年4月の適用期限が近づくにつれ、同規模の飲食・小売チェーンが同様の契約基盤整備を発表するペースを注視したい。今後12ヶ月以内に採用事例が集中するようであれば、会計基準対応が契約管理プラットフォームの普及を主導する構図が確認される。また、機関投資家的なテナントに対するリース書類の提供方法を、貸主側が見直す動きにも波及する可能性がある。