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丸井グループ、第1四半期の営業利益・当期利益がともに過去最高 テナント入替と「推し」イベントが小売を押し上げ、エポスカード会員841万人に

丸井グループの小売とフィンテックを組み合わせた事業モデルが第1四半期も伸び続けた。グループ総取扱高・営業利益・当期利益がいずれも四半期として過去最高を更新し、同日発表した自己株式取得枠の設定や通期予想の小幅な上方修正には、この勢いが続くとみる取締役会の見立てがにじむ。

抽象的なキャラクター型什器が並ぶ、重なり合う売場フロアを斜めに貫くエスカレーターのイラスト
イラスト:floortok.com

丸井グループが発表した2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)決算は、記録づくめの内容となった。グループ総取扱高・営業利益・当期利益がいずれも四半期として過去最高を更新し、小売・テナント・カード事業を組み合わせた同社のビジネスが前年を上回るペースで拡大したことを示した。

グループ総取扱高は前年比10%増の1兆4,060億円(前年差+1,220億円)となり、第1四半期として過去最高を記録した。同社はエポスカードによるフィンテック事業のカードクレジット取扱高の伸びを主因に挙げている。売上収益は7.4%増の724億円で6期連続の増収。営業利益は10.5%増の154億円で第1四半期として過去最高となった一方、経常利益は3.3%増の128億円と伸びが鈍く、支払利息が13億円から21億円に増えたことが要因となった。両利益とも5期連続の増益となる。親会社株主に帰属する四半期純利益は14.0%増の90億円で第1四半期として過去最高、6期連続の増益となり、1株当たり四半期純利益は44.12円から50.46円に伸びた。

営業利益の伸びは、会計上の要因を除けばさらに大きかった可能性がある。債権流動化にともなう債権譲渡益は34億円で前年より15億円減少し、償却額・費用も3億円増の27億円となったことで、合計18億円の押し下げ要因となった。この影響を除いた実質的な営業利益は33億円増加し、内訳は小売が9億円、フィンテックが23億円だったと同社は説明している。

小売:テナントを絞り込み、質を高める

小売セグメントの営業利益は前年比38%増の34億円となった。マルイ・モディの各店舗では、自社で売場を運営するのではなく集客力のあるテナントを導入する「売らない店づくり」を進めているという。定期借家のテナント収入は2%増の119億円、そのうち固定賃料ではなく売上に連動する変動収入の比率は前年から2ポイント上昇し23%となった。

小売セグメントで最も伸びているのが、丸井が「『好き』を応援するイベント」と呼ぶ、ファンの熱量を軸にしたポップアップやコラボ企画だ。マルイの店舗内にとどまらず外部施設への出店も進めており、年間開催数は1,000回を超えているという。カード獲得力のある社員が運営に当たるため、1日当たりのカード入会数は一般的なイベントの16倍に上ると同社は説明する。イベントの取扱高は前年比109%増の42億円となった。

フィンテック:エポスカードが会員数で最高を更新

より規模の大きいフィンテックセグメントの営業利益は前年比3%増の140億円となった。カードクレジット取扱高は10%増の1兆2,994億円で四半期として過去最高となった。同社は、家賃や公共料金などの定期的な支払いをカード払いに切り替えてもらう「家計シェア最大化」の取り組みが伸びを支えたとしている。分割・リボ払いの取扱高は9%増の1,232億円、流動化した債権を含む分割・リボ残高は6%増の5,064億円で過去最高となった。

エポスカードの新規会員数は22万人で第1四半期として過去最高となり、期末会員数は前年差41万人増の841万人に達し、こちらも過去最高を更新した。アニメ・ゲームやエンターテインメント、動物保護団体などとの提携カードを含む「『好き』を応援するカード」は、新規会員数10万人(前年差+1万人)、期末会員数146万人(同+27万人)まで拡大し、企画数は161に達した。同社によると、これらのカードは若年層の保有比率が高く、生涯利益(LTV)は一般カードの2〜7倍に上るといい、今後発行するカードには利用時のポイントの一部を団体へ還元する寄付機能を標準搭載する方針だという。

総資産はカード債権の増加などを背景に、2026年3月末の1兆1,413億円から1兆2,088億円に拡大した。有利子負債(リース債務を除く)は900億円増の8,062億円となり、自己株式取得や配当支払いの影響で自己資本比率は1.9ポイント低下し19.5%となった。決算発表と同じ8月4日、取締役会は上限200億円(発行済株式総数の5.6%に当たる最大1,000万株)の自己株式取得枠の設定を決議し、取得期間は8月10日から2027年5月15日までとした。同社は、将来の収益性が十分に株価に織り込まれない局面に備えた措置だとしている。

通期業績予想についても、5月15日公表分から小幅に上方修正した。売上収益は2,965億円、営業利益は555億円とそれぞれ引き上げた一方、経常利益(440億円)、当期利益(295億円)、1株当たり利益予想(164.00円)は据え置いた。小売セグメントの営業利益予想は4.3%引き上げて120億円、フィンテックは510億円で据え置いた。年間配当予想は15期連続増配となる過去最高の134円で変更していない。

今回の決算は、丸井が10年がかりで築いてきたビジネスモデルの縮図といえる。自ら運営する売場を絞り込み、集客力やカード入会につながるテナントやイベントに置き換え、モノを売ることそのものよりも、そこに集まる顧客への金融サービスから多くを稼ぐという構図だ。セグメント別営業利益の合計174億円のうち、小売が担うのは約5分の1にとどまり、残る大部分をフィンテックが支えている実態は、百貨店的な小売業から消費者金融事業への転換がどこまで進んだかを端的に示している。焦点は、店舗を絞り外部イベントに軸足を置くこの戦略のもとで小売の利益率がどこまで伸びるか、そして両セグメントの比重がいつ再び動き出すかにある。

丸井グループ 2027年3月期第1四半期:経常利益を除き増益率が増収率を上回る

前年同期比(%)

+7.4%売上収益+10.5%営業利益+3.3%経常利益+14.0%当期利益
丸井グループ 2027年3月期第1四半期決算短信 · 作図:floortok