三菱地所、資産売却益で第1四半期利益がほぼ3倍に 丸の内のオフィス空室率は過去最低水準
三菱地所の2027年3月期第1四半期は、親会社株主に帰属する四半期利益が954億円と前年同期のほぼ3倍に達した。ただしその大半は有価証券や海外資産の売却益といった一時的な要因によるもので、より持続的な指標としては丸の内エリアのオフィス空室率が過去最低の0.49%まで低下した点に注目したい。

三菱地所は8月7日に発表した2027年3月期第1四半期(4〜6月)決算で、親会社株主に帰属する四半期利益が954億円になったと明らかにした。前年同期の320億円からほぼ3倍の水準だ。
増益の大半は一時的な要因による。同社の開示によると、特別利益には有価証券売却益302億円を計上しており、前年同期の79億円から大きく増加した。連結の営業利益も624億円から1212億円に伸び、1株当たり利益(EPS)も25.75円から79.17円に拡大した。
セグメント別で伸び幅が最も大きかったのは国際事業だ。営業収益は304億円から1192億円へとおよそ4倍に、営業利益は64億円から430億円へと6倍超に膨らんだ。ただし同社の開示資料を仔細に見ると、この営業利益のうち380億円は海外資産の売却に伴う一時的な利益であり、前年同期はわずか10億円にとどまっていた。これを除けば国際事業の実力ベースの伸びは6倍にはほど遠く、グループ全体の増益と同様、今四半期の数字の多くは「何を賃貸・運用したか」ではなく「何を売ったか」によるところが大きい。
丸の内、空室率は一段と低下
むしろ注目に値するのは、より小さな数字の方だ。三菱地所が保有する丸の内エリアのオフィス空室率は6月末時点で0.49%まで低下し、同社が開示する複数年のデータの中でも最低水準となった。3月末の0.55%、1年前(2025年6月末)の1.71%、2年前(2024年3月末)の2.33%からの一貫した低下だ。丸の内ビル事業の賃貸収益も、前年同期の664億円から686億円に増加した。
こちらの数字の方が読み解く価値がある。有価証券の売却や海外資産の処分は経営判断次第で繰り返せるとは限らないが、東京で最も格式あるエリアのオフィスがほぼ満室で稼働しているという事実は、テナント需要が持続的に強いことを示す。floortokの読者にとっても、これはオフィスタワーだけの話ではない。丸の内の高級路面店が集める客足や出店密度は、上層階を埋めるのと同じテナント需要に支えられているからだ。
三菱地所は2026年度(2027年3月期)の通期見通しを、5月13日に示した予想から据え置いた。親会社株主に帰属する利益は2350億円を見込む。第1四半期だけで、その40.6%にあたる利益を早くも計上しており、単純な四半期按分(約25%)を大きく上回るペースだ。それだけ今期の増益が第1四半期に偏っていることを意味する。このペースが年間を通じて続くかどうかは、同様の資産売却が計画通り続くか、あるいは丸の内の空室率低下がいずれ賃料上昇という形で表れてくるかにかかっている。
オフィス空室率(%)