三井不動産、「Thanks STAFF」を全国50商業施設へ本格導入 人手不足対応で
三井不動産は、来店客の感謝を個々のテナントスタッフに届ける「Thanks STAFF」を、全国50の三井ショッピングパーク施設に本格展開する。ららぽーと海老名での実証導入では仕事継続意向が8.6%向上したといい、国内最大級のモール事業者がテナントスタッフの定着を自ら解決しようとする動きだ。

三井不動産は9月29日付の発表で、来店客の感謝を個々のテナントスタッフに届ける仕組み「Thanks STAFF」を、2027年1月中旬から全国50の三井ショッピングパーク施設に順次導入すると明らかにした。
同ツールは、三井不動産グループのテナントで既に活用されている店舗スタッフ向けアプリ「STAFF START」を提供するバニッシュ・スタンダードと共同で開発したもので、来店客からの感謝の声を、対応したスタッフ個人に直接届けられるようにする。三井不動産は、小売現場で深刻化する人手不足への対応と位置づけ、スタッフが自身の仕事の価値や手応えを実感できるようにすることが狙いだとしている。
同社はすでに「ららぽーと海老名」(神奈川県)で実証導入を実施しており、導入前と比較してスタッフの仕事継続意向が8.6%、働くモチベーションが8.9%向上したと説明している。
1施設での自己申告ベースの導入前後比較による1桁台の改善を根拠に、50施設規模の全国展開に踏み切るのは強気な判断とも言えるが、この動きそのものに意味がある。国内最大級のショッピングセンター事業者が、テナントスタッフの定着を個々のテナント任せにせず、自ら用意したツールで解決しようとしているからだ。人手不足で営業時間の短縮やレジの縮小が各地の小売現場で広がる中、たとえ小幅でも全社的な士気向上の実績を示せる家主は、店舗単位の人事施策だけでは持ち得ない、契約更新時の説得材料を手にすることになる。