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分析

大阪のシティホテル稼働率、今年は一度も70%に届かず 万博の反動だけでは説明がつかない

観光庁の宿泊旅行統計によると、6月の大阪府シティホテルの客室稼働率は62.4%と前年同月の81.5%から大きく落ち込み、2026年は一度も70%に届いていない。万博の国内客が去り、関西の中国人宿泊客が半減した一方で、地域の百貨店売上はなお伸びており、これは小売より先に宿泊の問題として現れている。

夕暮れの大阪のシティホテルの吹き抜けを見上げたイラスト。幾層もの回廊と明かりの消えた客室の窓の下、フロントに一人の人影が立つ。
イラスト:floortok.com

観光庁が8月31日に公表した宿泊旅行統計調査(2026年6月・第2次速報)によると、大阪府のシティホテルの客室稼働率は6月に62.4%となり、前年同月の81.5%から19.1ポイント低下した。単月の落ち込みではない。1月60.4%、2月64.8%、3月68.1%、4月67.5%、5月69.8%と、2026年に入ってから一度も70%に届いていない。2025年は12カ月を通じて一度も71%を割らなかった。

まず思い浮かぶのは比較対象の高さだ。2025年の大阪・関西万博は4月13日から10月13日まで夢洲で開かれ、大阪府のシティホテル稼働率はその間、2025年4月83.7%、5月83.4%、6月81.5%、8月83.6%、9月86.3%で推移した。誰が減ったかは延べ宿泊者数の内訳が示している。6月の大阪府は日本人延べ宿泊者数が28.2%減の195万人泊、外国人が18.0%減の168万人泊、全体で23.8%減の364万人泊と、観光庁の都道府県別表で最も大きな減少幅だった。欠けているのは外国人客より、万博に来ていた国内客の方が大きい。

万博前の水準さえ下回る

ただし比較対象の高さだけでは説明がつかない。大阪は万博開幕前の水準も下回っているからだ。万博のなかった2025年1〜3月、大阪府のシティホテル稼働率は74.7%、76.4%、73.8%だった。今年の同じ3カ月は60.4%、64.8%、68.1%と、10〜14ポイント低い。会場が閉じたこと以外の要因が数字を押し下げている。

第一の候補は中国だ。大阪航空局の月次集計によると、関西国際空港の7月の国際線旅客数は197万人と前年同月比11.9%減、6月は186万人と16.4%減で、4〜7月の累計では2025年を13.1%下回った。観光庁の集計では、全国の中国人延べ宿泊者数(客室数20室以上の施設)は6月に50.9%減、7月に43.0%減となっている。JNTOが7月の訪日外客数発表で挙げた中国政府の訪日自粛の呼びかけがその背景にある。関西の国際線の玄関口は東京より中国市場への依存度が高く、その影響が宿泊の数字に表れている。

第二は供給だ。大阪は万博の年に向けて客室を増やしており、その一部が今、縮んだ需要を奪い合っていると当編集部はみている。需要の絶対量が一部しか減っていなくても、稼働率という比率は下がる。観光庁の調査設計の変更にも注意が要る。2026年1月分から標本の層化基準を従業者数から客室数に改めており、前年比にはその影響が含まれる可能性があると同庁自身が注記している。大阪の落差の大きさと持続性からみて設計変更が主因とは考えにくいが、ポイント数の細部は見かけほど固くない。

京都は春を守り、東京は水準を保った

京都は様相が異なる。京都府のシティホテル稼働率は6月に70.8%と前年の77.3%から6.5ポイント下がったが、4月は83.6%、5月は83.7%で、前年の89.2%、84.4%とほぼ同水準を保った。外国人延べ宿泊者数は6月に19.2%減と大阪並みに落ちたが、日本人は9.8%減にとどまった。東京都のシティホテルは76.1%と前年の76.6%並みで、全施設タイプ合計の稼働率75.4%は2.2ポイント上昇して全国トップだった。外国人延べ宿泊者数が17.0%減った中での数字だ。つまり外国人客の減少は今年の全国的な条件であり、空室は関西の条件である。

全国の状況は関西ほどではない。全施設タイプ合計の稼働率は6月が57.2%(1.6ポイント低下)、7月(第1次速報)が60.8%(0.4ポイント低下)。シティホテルは6月が69.2%で3.3ポイント低下、7月は71.9%で0.3ポイント上昇し、リゾートホテルと旅館は7月に前年を上回った。外国人延べ宿泊者数は6月に三大都市圏で16.8%減、地方部で7.4%減だった。

ベッドは減り、レジは伸びる

売り場の側から見ると対照的だ。日本百貨店協会の7月の概況では、大阪の百貨店売上高は4.1%増、京都は8.6%増、神戸は9.3%増だった。直近の集計で同じ府のシティホテルが前年より2割空いていた時期の数字である。来ている客は一人当たりの支出を増やしており、その多くは宿泊ではなく高額品に向かっている。当編集部の見立てでは、万博の反動はまず宿泊と空港の問題であり、心斎橋や梅田の問題になるのは訪日客の減少が中国以外に広がった場合に限られる。8月の訪日外客数が全体で9.6%減となったことは、それが始まりつつあることを示している。

次の材料は9月30日公表の7月・第2次速報で、万博のない最初の夏の月について都道府県別の内訳が出る。より厳しい比較は10月と11月にやってくる。比較対象が万博閉幕期の9月86.3%、10月83.8%になるからだ。その時点でも大阪が60%台にとどまっているなら、関西には暦が解決してくれない客室数の問題があることになる。

大阪府シティホテル:2026年は毎月70%割れ

客室稼働率(%)

0%50%100%1月2月3月4月5月6月+74.7%+76.4%+73.8%+83.7%+83.4%+81.5%+60.4%+64.8%+68.1%+67.5%+69.8%+62.4%2025年2026年
観光庁「宿泊旅行統計調査」(第2次速報値) · 作図:floortok