ドン・キホーテのPPIH、過去最高益も店舗外の要因が押し上げ
ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルは2026年6月期に過去最高の売上高・利益を記録したが、決算資料を見ると増益の多くは為替差益や減損損失の縮小など本業以外の要因によるもので、同社自身も来期は同じペースの増益を見込んでいない。

ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、2026年6月期を増収増益・過去最高益で終えた。だが決算資料の内訳を見ると、増益の大部分はディスカウントストア事業そのものというより、本業以外の変動要因によるところが大きいことが分かる。見出しの数字だけでは見えてこない点だ。
8月18日に開示された2026年6月期(〜6月30日)決算によれば、連結売上高は前期比8.8%増の2兆4452億6000万円、営業利益は同7.7%増の1748億4200万円だった。経常利益はさらに高い伸びで同12.0%増の1775億900万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同21.6%増の1100億8800万円と過去最高を更新した。実現損益に評価損益等を加えた包括利益は同41.0%増の1273億4000万円に達したという。
グループ売上高の大半を占める国内事業(売上高2兆681億9500万円、前期比9.1%増)が売上高全体の伸びをけん引した。同社によれば免税売上高は過去最高を記録し、「特定の国・地域に依存しない」インバウンド戦略により、東南アジア・北米・欧州からの来店客が増えたという。
ただし国内事業の営業利益の伸びは同4.9%増にとどまり、売上高の伸びのほぼ半分にすぎない。決算資料自体が、これを意図的な投資によるものと説明している。生鮮食品に強みを持つユニー(UNY)の調達力と、ドン・キホーテの非食品MD(マーチャンダイジング)のノウハウを組み合わせた新業態「ロビンフッド」への戦略投資だ。1号店は4月に開業し、期末時点で5店舗を展開、2035年までに200〜300店舗という目標を掲げているという。新規出店に伴う人件費の増加も含め、グループは足元の国内事業の利益率を削ってでも、この新業態に先行投資する選択をしていることになる。
営業利益からその下の利益段階までの伸び幅の差は、その大半が小売事業そのものとは別の要因による。営業外費用は前期比で約3分の1減少したが、これは主に前期に計上した46億円の為替差損が、今期は43億円の為替差益に転じたことが大きい。一方、持分法適用会社からの利益は減少している。特別損失も、減損損失が前期の185億円から115億円に縮小するなど減少し、実効税率も33.3%から31.5%に低下したことが、純利益が経常利益以上のペースで伸びた要因とみられる。包括利益の急増についても、その大半は海外子会社の資産価値に関する為替換算調整勘定が、前期の22億円の損失から今期は129億円の利益へと転じたことによるもので、円相場の動きに連動する会計上の評価であり、店舗運営そのものの実力を示すものではない。
決算の中で最も解釈の余地が少ないのは財務基盤の強化だ。自己資本比率は40.1%から44.0%へ、自己資本利益率(ROE)は15.8%から16.8%へ上昇し、現金及び現金同等物も1758億円から2185億円に増えた。同社は今期末を迎えたその日に、その財務余力の一部を実際に使っている。首都圏でディスカウントストアや専門店、スーパーマーケットを展開するオリンピックグループコーポレーションとの株式交換を7月1日付で実施し、同社を連結子会社化した。数々の国内小売チェーンを取り込んできたPPIHの拡大路線の延長線上にある動きだ。
今回の決算をどう受け止めているかを最も端的に示すのは、同社自身が示した来期予想だ。2027年6月期は売上高を前期比9.9%増と、今期をやや上回る伸びを見込む一方、営業利益は同2.4%増にとどまり、経常利益は同1.2%減、親会社株主に帰属する純利益もほぼ横ばいの同0.4%増にとどまる計画としている。純利益が前期比21.6%増となったばかりのPPIH自身が、来期はそれと同じような伸びを見込んでいないということだ。
前年(同期)比増減率(%)