パルコ、名古屋PARCOの8階をキャラクター専門フロアに刷新 訪日需要に賭ける
パルコは9月、名古屋PARCOの8階を10店舗のキャラクター専門フロアに刷新する。うち5店舗は東海地方初出店で、公式ライセンス商品を常設する物販フロアが、すぐ近くで同じグループが手掛けるアニメ展示と同様に、訪日客の消費を取り込み続けられるかを試す一手だ。

パルコは7月6日付の発表で、名古屋PARCO本館西館8階に新たなエンターテインメントフロアを設け、9月4日にオープンすると明らかにした。フロア全体を、ライセンスキャラクターを軸とする10店舗に生まれ変わらせるという。
10店舗のうち5店舗は東海地方への初出店だとしている。ゴジラストア名古屋、仮面ライダーストア名古屋、「アクションデパート」を掲げるクレヨンしんちゃんオフィシャルショップ名古屋店、AniBirth、そしてにしむらゆうじ購買部の名古屋店だ。残る3店舗は東海地方で唯一の出店とされ、ONE PIECEの麦わらストア名古屋店、シルバニアファミリーの「森のお家 Premium」、再オープンとなるTHE GUEST CAFE BY PARCOが並ぶ。スイーツパラダイスはすでに6月に先行オープンしており、10番目の区画にあたるPARCO HALLは店舗ではなく新設の展示スペースだ。フロアの店長には高桑英之氏が就くという。
パルコはフロア全体を「CHARACTER×GALAXY=CHARAXY(キャラクシー)」と名付けた。PARCO HALLのこけら落としとなる展示は『エヴァンゲリオン』30周年を記念する内容で、テレビシリーズや劇場版のセル画・制作資料を展示するという。
パルコはこのフロア新設を訪日需要の伸びと結びつけて説明する。名古屋PARCOの訪日客売上高は2025年度(2025年3月〜2026年2月)に前年度比で155%、つまり5割強増加したとしており、公式ライセンスのアニメ・特撮グッズを揃えるフロアが、コアなファン層に限らず観光客を最上階まで引き上げ続けると見込んでいるようだ。
同じ手口は、もうすぐ近くで動き出している
今回の一手の核心は商品そのものより見せ方にある。日本の商業施設で最も埋まりにくいとされてきた上層階――かつてはレストランや生活雑貨売り場に充てられがちだった空間――を、コンテンツツーリズム(アニメやゲーム、キャラクターを目的とした旅行を指す観光業界の用語)を追う訪日客向けの物販フロアへと転換した格好だ。しかもこれはパルコの親会社J.フロントリテイリングにとって孤立した試みではない。同グループの百貨店事業が運営する松坂屋名古屋店は、この夏だけでも『呪術廻戦』展、『ダンダダン』の展示、『攻殻機動隊』の回顧展をミュージアムフロアで次々と開催してきたと floortok はこれまで伝えてきた。パルコの今回の施策は同じ発想を一歩進め、期間限定の展示を、通常の物販賃貸契約に基づく10店舗という恒常的な構えに置き換えるものだ。
タイミングには緊張感も伴う。日本政府観光局(JNTO)のデータによれば、6月の訪日外客数は前年同月比6.8%減と2カ月連続の前年割れとなった一方、個別の市場では15カ国・地域が6月として過去最多を記録している。観光客の来街をキャラクターグッズの購買へとつなげるフロアづくりは、6週間の展示会よりもはるかに長期の賭けであり、松坂屋の展示のように数週間おきにテナントを入れ替えることはできない。10店舗の常設フロアが名古屋の展示ラインアップを上回る集客を見せるのか、それとも同じ客層を奪い合うだけに終わるのか。9月のオープンが問いかけているのは、むしろそちらの方だろう。