floortok

Journal

·
ニュース

そごう・西武、「改革フェーズ」の完了を宣言 「成長フェーズ」に向け5つの重点施策を提示

そごう・西武は取引先650名に対し、財務再建に充ててきた「改革フェーズ」の完了を告げ、そごう横浜店への「本店」称号付与を含む5つの成長施策を掲げた。ただし具体的な工程表や投資額は示されていない。

夕暮れの百貨店外観。一部が改装中で、入口の上に新しい銘板パネルを掲げる2人のシルエットの作業員
イラスト:floortok.com

そごう・西武は8月13日付の発表で、2023年9月の新体制発足後初となる取引先向けの経営方針説明会を8月7日に開催したことを明らかにした。380社・650名の取引先関係者が参加した場で、同社はこれまでの「改革フェーズ」が完了し、今後は「成長フェーズ」に移行すると位置づけた。

会場は東京會舘(東京都千代田区)。登壇したのは代表取締役社長の劉勁氏と、取締役執行役員副社長の牧野伸喜氏。発表によると、新体制発足からの2年間は財務基盤の健全化、組織改革、生産性向上、収益体質の強化、お客さま起点の店づくりに充てられ、その集大成として西武池袋本店の全館リニューアルを実現したという。

5つの重点施策

成長フェーズに向け、そごう・西武は投資を積極化する5つの施策を挙げた。基幹店を中心とした継続的な改装実施(そごう横浜店はリモデル後のリニューアルオープン時に「そごう横浜本店」へ名称変更)、ITインフラの刷新とAI活用の推進、ロイヤルティプログラムの統合による顧客基盤の拡大、外商部門の事業部化による顧客情報・商品サービスの一元活用とサテライト拠点拡充、そして人材育成・活用への継続投資である。

最も分かりやすいシグナルは名称変更だろう。「本店」は、系列店舗網の中でも頂点に立つ旗艦店に与えられる呼称であり、そごう・西武はこれまでそごう横浜店にこの称号を冠してこなかった。改装完了後にこれを冠するという決定は、2023年にセブン&アイ・ホールディングスの傘下を離れて以降、店舗閉鎖が続いた時期を経てもなお、グループがどの店舗に経営資源を集中させる考えかを、取引先や従業員に示す狙いがある。

一見地味に映るのが、外商を独立した事業部門へと格上げする動きだ。外商は、百貨店が上位顧客を個別に開拓・維持するための訪問型・予約型の販売チャネルであり、その顧客情報を一元化し、サテライト拠点の拡充余地を与えるという判断は、IT・AI活用でコスト削減を進める一方で、最も価値の高い顧客層には引き続き個別対応で応えていくという賭けでもある。

発表に欠けているのは具体的な工程表だ。そごう横浜店の改装完了時期や、5つの施策それぞれに投じる金額は明らかにされていない。財務再建に費やした「改革フェーズ」を経て迎える「成長フェーズ」は、まずは取引先向けの意思表明として示された段階にあり、その中身と投じられる資本の規模は、これから問われることになる。