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スワッチグループ、上半期の日本売上高が現地通貨ベースで20%増 グループ全体の営業利益は減益に

スワッチグループの2026年上半期決算で、日本は現地通貨ベースで売上高が20%増と、27%増の米国と並ぶ主要市場の一つに挙げられた。一方でグループ全体の営業利益は5200万スイスフランへ減少しており、スイス時計輸出全体が縮小するなかでのシェア拡大という構図が浮かぶ。

スカイライトの下でガラスケースが並ぶ、静かな百貨店の時計・宝飾サロンのイラスト。一人の人影が商品を眺めている
イラスト:floortok.com

スワッチグループが7月21日に発表した2026年上半期決算で、日本は上半期の売上高が現地通貨ベースで前年同期比20%増と、主要市場の中でも際立った伸びを示した市場の一つに挙げられた。同程度の伸びを見せたのは米国(27%増)のみで、その一方でスイスの時計大手であるグループ全体の収益性は同じ半期でむしろ低下した。

同社によると、グループ全体の売上高は現地通貨ベースで8.5%増の31億2100万スイスフラン。ただし為替の影響(約2億スイスフランのマイナス)を差し引いた実際の増収率は2.0%にとどまった。営業利益は前年同期の6800万スイスフランから5200万スイスフランへ減少し、営業利益率も2.2%から1.7%に低下、純利益も1700万スイスフランから1600万スイスフランへとわずかに減った。同社はこの減益について、為替の逆風に加え生産部門の業績によるものだと説明。受注量がまだ追いついていない中でも、一時休業による人件費補填に頼らず、あえて生産能力と雇用を維持する判断を続けているためだとしている。

売上はすべての大陸で伸びたという。日本と米国以外では、欧州でスペイン(28%増)とイタリア(12%増)が牽引し、アジア太平洋では韓国(12%増)とオーストラリア(5%増)も増収となった。伸び率がさらに高かったのが、同社が「高いポテンシャルを持つ市場」と位置づけるインド(38%増)、サウジアラビア(41%増)、メキシコ(26%増)だ。対照的に、香港・マカオを含む中国は比較的落ち着いた動きで、直営小売事業の売上は店舗数がほぼ横ばいの中で9%増にとどまり、サードパーティの小売業者による発注は「引き続き低調」だったという。中東地域の情勢不安も、同地域の200店舗超の販売拠点に影響を及ぼしたとしている。

この日本の伸びは、スイス時計業界全体の状況と比べるといっそう際立つ。スイス時計工業連盟(FH)の統計によれば、同じ半期のスイス時計輸出額は業界全体で0.7%減少している。スワッチグループ自身、自社の増収を単なる市場全体の追い風ではなく「グループにとって非常に重要な世界的シェア拡大」と位置づけているのはこのためだ。つまり日本の20%増は、日本の時計市場全体が拡大した恩恵というより、業界全体としては縮小した市場の中で、スワッチグループがより大きな取り分を獲得したことを意味する。

どのブランドがこのシェア拡大を支えたのか。オメガは直営小売(ブティック)売上が現地通貨ベースで20%増加し、ブランド全体の売上高に占める比率は42%に達した。ミラノ・コルティナ冬季五輪の公式計時パートナーとしてのマーケティング投資が寄与したという。ハリー・ウィンストンは中華圏(香港・マカオ含む)で20%近い「際立った」増収を達成。ブレゲは創業250周年を記念した新作の勢いを追い風に好調な半期を送った。エントリー〜ミドルレンジのロンジン、ティソ、ハミルトンはいずれも二桁増収となり、同社はこれを、複数市場で初めてスイス時計を購入する「拡大する中間層」の存在によるものと説明している。この半期最大の話題を提供したのはスウォッチ自身で、オーデマ ピゲとのコラボレーション「ロイヤル・ポップ」は5月16日の発売以来、供給が需要にまったく追いつかない状況が続き、同社の集計ではSNS上で250億回以上視聴されたという。このヒットは、既存のムーンスウォッチやスキューバ・フィフティ・ファゾムスの販売も押し上げた。

直営ブティックは店舗数がほぼ横ばいの中で、現地通貨ベースの生産性が18%向上し、ウォッチ&ジュエリー事業の売上のほぼ半分を直営店経由が占めるまでになった。オンライン売上も30%増加している。注目すべきは、5月・6月にかけて急加速したという説明だ。この2カ月間だけで売上は現地通貨ベースで13.1%増、営業利益率も半期全体の1.7%に対し8.6%まで改善しており、この勢いは7月に入っても続いているとして、同社は下期の大幅な収益性改善に期待を示している。

発表資料は、日本がなぜこれほど伸びたのかについて具体的な説明を一切示していない。インバウンドと国内需要の内訳も、ブランド別の現地事情への言及もない。これほどの規模の市場について、単に「20%増」という数字だけで語り切っている点自体が興味深い。この数字が日本におけるスイス時計需要の持続的な変化を映したものなのか、それとも同社が通期見通しの根拠とする5〜6月以降の全社的な加速の波に日本もたまたま乗っただけなのか。次回の決算で確かめるべき点だろう。

2026年上半期の市場別売上高成長率(現地通貨ベース)

前年同期比・現地通貨ベース(%)

+28.0%スペイン+27.0%米国+20.0%日本+12.0%イタリア+12.0%韓国+9.0%中国(直営)+5.0%オーストラリア
スワッチグループ 2026年上半期決算資料 · 作図:floortok