スワイヤー・プロパティーズが上期黒字転換、中国本土のモールが香港を大きく上回る伸び
香港の大手デベロッパーの上期決算では、中国本土の旗艦モールが新規ラグジュアリー出店を追い風に2桁・3桁の増収を記録した一方、香港の小売回復は一桁台にとどまった。

スワイヤー・プロパティーズは8月6日に発表した2026年上期決算で、株主帰属の会計上の利益が36億3,100万香港ドルの黒字に転じたと明らかにした。前年同期は12億200万香港ドルの赤字だった。不動産の評価損益を除いた基礎利益(アンダーライング利益)は前年同期比11%増の49億香港ドル、一時的な資産売却益をさらに除いた経常ベースの基礎利益は同36%増の46億6,100万香港ドルだった。
黒字転換の主因は本業というより会計上の要因だ。同社によると、2026年上期の投資物件の公正価値評価は差し引き2,600万香港ドルの評価益となり、前年同期の46億8,000万香港ドルの評価損(主に香港オフィス部門で発生)から大きく好転した。アンダーライング利益の伸びは、3月に完了したディープ・ウォーター・ベイ・ロード6番地の住宅2棟の売却(対価22億香港ドル)と、小売賃料収入の増加が主因という。取締役会は1株あたり0.37香港ドルの第1回中間配当を決定し、前年同期比6%増となった。
「市場の不確実性にもかかわらず、当社の事業の底堅さは明らかだ」
中国本土のモールが独走
営業実態がより鮮明に表れたのは小売部門だ。同社によると、中国本土モールの帰属小売売上高は上期に前年同期比23%増加し、なかでも北京の「太古里三里屯」が63%増、上海の「HKRI太古匯」が82%増と牽引した。三里屯の伸びについて同社は、北区の業種構成の刷新完了と、4月にエルメスのグローバル旗艦店が開業した効果を挙げた。HKRI太古匯は、2025年6月に開業したルイ・ヴィトンのコンセプトストア「ザ・ルイ」と、新設のロレックス・プレステージ店が寄与したとしている。成都の「太古里成都」と上海の「太古里前灘」はいずれも売上高が14%増、広州の「太古匯」は9%増、北京の「INDIGO」は3%増だった。
一方、香港の小売ポートフォリオの伸びはより緩やかだった。同社によると、太古広場(パシフィック・プレイス)の売上高は15%増、シティゲート・アウトレットは16%増、太古城(サイバープラザ)は3%増で、香港市場全体の暫定値10%増と比べられる水準だった。同社は、香港からの海外旅行が市場全体の重荷となる一方、地元客と訪問客双方による腕時計・宝飾品・金製品への根強い需要を挙げた。上期を通じ、香港の全モールはほぼ満室を維持した。
グループ内での中国本土の存在感の高まりは数字にも表れている。完成済み投資物件の帰属総賃料収入に占める中国本土の割合は上期に46%となり、2025年通期の43%から上昇した一方、香港の比率はその分低下した。10年計画で総額1,000億香港ドルを投じる投資計画は約7割が確定済みで、うち中国本土向け配分の9割超が既にコミット済みという。広州での「太古里」初の河畔開発や三亜のリゾート型商業施設を含む、本土7件の開発案件が進行中だ。
決算資料にはもう一点、日本に関わる情報もあった。スワイヤー・ホテルズの拡張計画には、マネジメント契約による東京への新規ホテル進出が含まれており、深センへの出店と並んで挙げられている。同グループとして日本のホテル市場への進出を示す、資料上初めての開示とみられる。中国本土と香港の小売の明暗と合わせて見れば、同社の姿勢は一貫している。旗艦出店が客足を押し上げ続ける中国の都市にラグジュアリーテナントを追う一方、香港は拡大よりも守りに徹する、より安定した基盤として位置付けているようだ。
小売売上高 前年同期比(%)