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ワールドとTSIホールディングス、共同持株会社「インフィニティ・ユナイテッド」設立へ経営統合

日本を代表する上場アパレルグループ、ワールドとTSIホールディングスは10月14日、新設する共同持株会社「インフィニティ・ユナイテッド」のもとで経営統合すると発表した。両社は2027年2月末までに上場を廃止する。供給過剰が続く国内ファッション市場に必要なのは新規出店ではなく再編だ、という両社の判断がにじむ統合である。

コートやシャツを掛けた2本のハンガーラックが、真鍮色の枠の一つの店舗入口へと向かう様子を描いたフラットなエディトリアル・イラスト。
イラスト:floortok.com

株式会社ワールドと株式会社TSIホールディングスは10月14日、新たに設立する共同持株会社「株式会社インフィニティ・ユナイテッド」(英文名:INFINITY UNITED Inc.)のもとで経営統合すると発表した。両社の発表によると、共同株式移転の方式により両社がインフィニティ・ユナイテッドの完全子会社となり、効力発生日は2027年3月1日を予定する。

百貨店や商業施設を主な販路にアパレルブランドを展開し、リユースやライフスタイル事業も手がける神戸のワールドと、「アヴィレックス」「ショット」「ステューシー」「ジル バイ ジル スチュアート」やセレクトショップ「フリークス ストア」を傘下に持つ東京のTSIホールディングスは、ともに2027年2月25日付で東京証券取引所への上場を廃止する。インフィニティ・ユナイテッドは3月1日付でプライム市場にテクニカル上場する予定だ。株式移転比率は、ワールド株式1株に対しインフィニティ・ユナイテッド株式1株、TSIホールディングス株式1株に対し同0.8株を割り当てる内容で、新株発行数はおよそ1億2,186万株となる見込み。ワールドは野村證券、TSIホールディングスはみずほ証券をそれぞれ独立した第三者算定機関に選定しており、両社とも算定レンジの範囲内だとしている。

ファッション産業の「第3極」へ

両社は、国内ファッション市場について共通の現状認識を示した。店舗やブランドの供給過剰が10年以上続き、店舗・システム・在庫などのコストの重複を招いている一方、輸入依存の調達は円安や国内人口減少によるコスト上昇にさらされており、他産業で進んだようなスケールメリットを狙った業界再編がファッション産業では起きてこなかったという。同時に、グローバルSPAやメガリテーラーが市場シェアを集中させる一方、新たなクリエイティヴやビジネスモデルを持つ新興勢力も台頭しているとの見方を示した。両社は、日本のファッションにはまだ見ぬ市場を惹きつける力があるとの考えを共有しており、その力を引き出す手段として今回の統合を位置づけている。

両社が掲げる目標は、グローバルSPAやメガリテーラーとは異なる「第3極」をファッション産業に確立することだ。多様なファッションブランドやサービスが集う場をつくり、両社が抱えてきた重複コストを価値に転換し、将来的には循環型ビジネスモデルへの転換を目指すとしている。見込まれるシナジーとしては、情報システムや物流、コーポレート機能の共通化・購買の一体化、顧客情報や販売チャネル・商品供給の相互活用(海外展開の共同推進を含む)、統合で生まれる原資を活かしたM&Aや海外展開、人材投資の拡大を挙げている。

新会社の体制は、現TSIホールディングス社長の下地毅氏が代表取締役会長に、現ワールド社長の鈴木信輝氏が代表取締役社長執行役員に就任する予定。共同持株会社の傘下は、TSI、ワールド・ソリューションズ、ワールド・ブランズの中間持株会社3社に再編され、このうちワールド・ブランズについては「株式会社ワールド」への社名変更を検討しているという。2027年2月28日までを基準日とする配当は今回の再編の影響を受けず、ワールドは1株あたり36円、TSIホールディングスは1株あたり70円を上限に配当を行うことができるとしており、両社の株主優待制度もそれぞれ継続する予定。

統合の背景にある事業環境は、TSIホールディングスが同日に発表した別の開示でも垣間見える。2027年2月期中間期(2026年3〜8月)の売上高は、4月時点の予想を2.8%下回る889億500万円にとどまった。記録的な暖春で春物の立ち上がりは早かったものの、6月以降の天候不順で夏物需要が伸び悩んだためだ。営業利益も9億9,500万円と予想を17.0%下回ったが、販管費の効率化でコスト構造は改善したという。通期の業績予想と、1株あたり70円の期末配当予想はいずれも据え置かれた。

両社の規模には差がある。ワールドの2026年2月期の連結売上収益は2,840億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は120億円。TSIホールディングスの同期の売上高は1,670億8,500万円、親会社株主に帰属する当期純利益は37億9,300万円で、ワールドはおよそ1.7倍の規模にあたる。両社のブランドを売場に抱える百貨店や商業施設にとって、持株会社の組織図そのものより気になるのは、今回掲げられた重複コスト削減が売場構成にどう跳ね返るかだろう。店舗・システム・物流の重複解消が、テナントのブランド数の縮小につながるのか、それとも両社が繰り返し強調した「多様性」がコスト削減の先も保たれるのかは、これから見えてくる。