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アンドエスティHD、2027年2月期上期営業利益34.6%増 値引き抑制で粗利改善も特別功労金が純利益を圧迫

GLOBAL WORK、ニコアンド、ローリーズファーム、スタディオクリップなどを展開するアダストリアの親会社、アンドエスティHD(東証プライム上場)は、8月までの中間期で営業利益が前年同期比34.6%増となったと発表した。在庫コントロールの強化と値引き販売の抑制により売上総利益率は56.5%に改善した一方、特別功労金12億30百万円の計上が響き、親会社株主に帰属する中間純利益はほぼ横ばいにとどまった。

日本の郊外型ショッピングモール内にある明るいカジュアル衣料品店を描いたフラットベクターイラスト。畳まれたニットやデニムが並ぶテーブル、レジカウンター、後ろ姿のシルエットの買い物客たちがラックを眺めている。
イラスト:floortok.com

アンドエスティHD(株式会社アンドエスティHD、東証プライム:証券コード2685)は9月30日提出の中間期決算短信で、GLOBAL WORK、ニコアンド、ローリーズファーム、スタディオクリップなどを展開する子会社アダストリアを中核とするグループの2027年2月期第2四半期(中間期、2026年3月1日〜8月31日)の連結営業利益が前年同期比34.6%増の107億31百万円になったと発表した。売上高の伸びは同1.9%増の1,521億10百万円にとどまり、増収率を大きく上回る増益となった。

増収率を上回る増益の主因は、値下げではなく利益率の改善にある。値入れ(仕入れ原価と販売価格の差)の見直しと在庫コントロールの強化で値引き販売を抑えた結果、円安や資材価格の上昇が続くなかでも売上総利益率は前年同期比1.3ポイント改善の56.5%となった。販売費及び一般管理費も売上の伸びを下回るペースで推移し、販管費率は同0.3ポイント改善の49.5%となった。従業員の処遇改善により人件費は増加したが、広告宣伝費が売上高比2.7%(前年同期3.1%)に低下したことが相殺した。前年同期に旗艦店を開業した反動に加え、広告宣伝の効率化を進めたためという。結果として営業利益率は前年同期比1.8ポイント改善の7.1%となり、経常利益は同42.0%増の110億66百万円となった。

国内アパレルは底堅く、伸びは一部ブランドに集中

グループ売上高の87.5%を占める国内アパレル・雑貨関連事業の売上高は、同3.2%増の1,331億円となった。同社はカジュアルファッション需要が底堅く推移したことに加え、トレンドを捉えた商品の機動的な展開、マルチブランド・マルチカンパニー戦略による多様な商品展開、TVCMやポイント還元などの販促施策が寄与したと説明している。2025年4月にグループ入りしたカリマーインターナショナル株式会社の純増も売上高を押し上げた。

アダストリア単体のブランド別では明暗が分かれた。ニコアンド(同8.8%増の193億48百万円)、ローリーズファーム(同8.1%増の131億5百万円)、スタディオクリップ(同5.3%増の128億19百万円)、レプシィム(同13.7%増の99億15百万円)はいずれも好調に推移した一方、主力のグローバルワークの売上高はほぼ横ばいの同0.1%増(261億24百万円)にとどまった。セール(値引き販売)を抑制した結果、売上の伸びは鈍ったものの、全体の利益率改善の恩恵は受けている。ジーナシス(同0.5%減)、ベイフロー(同3.8%減)は減収となり、グループ会社のエレメントルールも春夏商材の不振や前年ヒット商品の反動により同4.3%の減収となった。

海外は米国撤退の影響を除けば増収基調

海外アパレル・雑貨関連事業の売上高(円換算)は同11.4%減の110億14百万円となったが、この数字には留意が必要だ。2025年7月に米国事業(Velvet, LLC)の出資持分譲渡を完了しており、前年同期の実績には同事業の売上高が含まれる一方、当期には含まれないためだ。米国を除くアジア各地域は軒並み増収となった。中国大陸は不動産不況を背景に消費が力強さを欠くなかでも、標準型店舗の出店とECとのクロスチャネル戦略が奏功し同24.2%増の27億74百万円、香港は同16.2%増、台湾はマルチブランド戦略による新規出店が続き同22.5%増となった。出店がまだ本格化し始めたばかりのタイは同42.3%増、フィリピンは同13.4%増と、規模は小さいながら伸び率は大きかった。

店舗展開については、上期に42店舗を出店し24店舗を退店した結果、8月末の店舗数はグループ合計で1,692店舗となり、前年同期末比23店舗の増加となった。ECについては国内売上高に占める比率が27.3%、うち自社ECが14.3%だった。外部企業の出店も受け入れるモール型プラットフォーム「and ST」の会員数は前期末比100万人増の2,270万人、うちアクティブ会員数は810万人となった。

特別功労金が利益改善を打ち消す

もっとも、この収益改善は最終利益には及んでいない。親会社株主に帰属する中間純利益は同0.6%減の59億51百万円となった。営業利益・経常利益がいずれも大幅増益となったにもかかわらず減益となったのは、特別損失として特別功労金12億30百万円を計上したためで、店舗減損損失や災害による損失も重なった。同社の招集通知によると、特別功労金は5月の定時株主総会で承認されたもので、同総会をもって退任した取締役2名、1971年に取締役に就任し1993年から社長を務めた福田三千男氏と、2021年に社長に就任した木村治氏に支給される。この一過性の特別損失がなければ、営業・経常段階の増益は純利益にも表れていたとみられる。

通期予想は据え置き、計画は上回って推移

同社は2026年4月6日公表の通期連結業績予想を据え置いた。売上高3,140億円(同3.2%増)、営業利益172億円(同4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益105億円(同10.5%増)を見込む。中間配当は1株当たり45円、通期の配当予想も90円で、いずれも前期から据え置いた。決算説明会資料によれば、上期の営業利益は期初計画を15億円程度上回って推移したというが、同社は計画の上方修正ではなく据え置きを選び、下期も計画を超える売上・利益の創出を目指すとした。この決算から読み取れるのは、規模より採算を優先する姿勢だ。国内の増収は積極的な新規出店ではなく、既存ブランドの売り方を磨き込んだ結果もたらされ、海外の成長は米国撤退後、グレーターチャイナと東南アジアに集中している。

2027年2月期上期 ブランド別売上高増減率(前年同期比)

前年同期比(%)

+13.7%レプシィム+8.8%ニコアンド+8.1%ローリーズファーム+5.3%スタディオクリップ+0.1%グローバルワーク−0.5%ジーナシス−3.8%ベイフロー
同社決算短信 · 作図:floortok