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ビームス、横浜の店舗を2週間東北のクラフトサケ復興の舞台に

ビームスが横浜の生活雑貨店を2週間、東北の4つの小規模蔵元に明け渡す。うち2蔵は福島県浜通りでここ5年以内に創業した新興蔵元だ。地域の食とfennicaが選ぶ工芸も揃え、クラフトサケがその成り立ちの物語ごと売れる商材になったことを示す。

日本酒の瓶と陶器のカップが並ぶ木のカウンター、背後の棚に織物の工芸品、瓶を手に取るシルエットの買い物客を描いたイラスト。
イラスト:floortok.com

ビームスは、横浜モアーズ1階の「ビームス ライフ 横浜」で、東北6県のクラフトサケ、食、工芸を集めた2週間の企画「東北醸想」を11月20日から12月3日まで開催すると発表した。

日本酒の軸となるのは4つの蔵元だ。秋田・男鹿で2021年秋に創業し、現在はラーメン店やホテル、蒸留所も自営する「稲とアガベ」。福島県南相馬市小高で2021年2月に創業し、伝統的などぶろく製法を用いながらJR東日本と協業して小高駅の駅舎を醸造所兼マーケットに転用した「haccoba」。同じ小高を拠点に、浜通り産の米を無添加酵母で発酵させ、クラフトビールの技法を取り入れる「ぷくぷく醸造」。そして岩手県紫波町で、発芽玄米の酛と地元果汁を使い無ろ過で仕込む「平六醸造」。ビームス ライフとぷくぷく醸造は、同蔵の「#」シリーズをベースに蔵の近隣で育つ柚子とホップを使った限定コラボ商品「YUZUHOP」も用意し、横浜店限定で販売する。

食の企画は有名店ではなく、地元で長く続く小規模な店を中心に組む。1867年創業の秋田の味噌醤油蔵「ヤマモ味噌醤油醸造元」は、自社の蔵で見つけた酵母を使い東北食材のおでんを提供。1923年創業のいわきの魚屋「おのざき」はメヒカリの唐揚げを、2023年にグッドデザイン金賞を受賞したゲソ天で知られる山形のスーパー「エンドー」はそのゲソ天を会場で販売する。宮城の「farmer's table mano」の料理や、期間限定で東京の「NEW CLASSIC TORTILLA CLUB」、山形の「HAVE A GOOD SLICE」も加わる。工芸はビームスのレーベル「fennica」が選定し、青森・弘前こぎん研究所の津軽こぎん刺し、BUNACOのブナ材を用いた家具、広瀬川とサハラ砂漠の砂を使う宮城「海馬ガラス工房」のガラス作品、そして仙台木地製作所のこけし ── 伝統工芸士・佐藤正廣氏の息子、佐藤康広氏がfennicaのために手がけた一点を含む ── が並ぶ。

4蔵のうち「haccoba」と「ぷくぷく醸造」は、同じ福島県浜通りの小高という町を拠点とする。東日本大震災後に避難区域となり、今も人口の回復が続く地域だ。この2蔵がいずれもここ5年以内に創業し、全国チェーンの専門店が横浜の売場に呼び寄せ、専用のコラボ商品まで用意する構図は、クラフトサケが地域復興を物語る手段として、米や農産物以上にわかりやすい商材になったことを示している ── 蔵の成り立ちそのものが、酒そのものと同じだけの商品価値を持つようになったわけだ。fennicaの産地ネットワークづくりを長年進めてきたビームスにとって、この催事は横浜1店舗の来店客を、今後も取引を続けられる東北6県の小規模な生産者のショーケースに変える、リスクの小さい手法と言える。