floortok

ジャーナル

·
ニュース

ブルネロ クチネリ、2026年12月期の増収率見通しを12%に上方修正 1〜9月売上高は11億2,360万ユーロ

ブルネロ クチネリは、1〜9月期の売上高が為替変動を除くベースで前年同期比13.3%増の11億2,360万ユーロになったことを受け、通期の増収率見通しを今年2度目となる上方修正をした。アジアは中国を筆頭に地域最速の伸びを記録し、同社は日本についても現地顧客主導で引き続き好調な市場の一つに挙げている。

折りたたまれたカシミアニットが並ぶ、静謐で装飾を抑えたイタリアン・ラグジュアリーのブティック内観を描いたイラスト。ブルネロ クチネリの売場を想起させる。
イラスト:floortok.com

ブルネロ クチネリは10月15日付のプレスリリースで、9月30日までの9カ月間の売上高について取締役会でレビューしたと発表し、2026年12月期通期の増収率見通しを、為替変動を除くベースで約12%へ上方修正した。7月時点の見通し(10〜11%)、さらに年初時点の見通し(約10%)からの引き上げとなる。1〜9月期の売上高は為替変動を除くベースで前年同期比13.3%増(実際の為替レートベースでは10.2%増)の11億2,360万ユーロ。第3四半期(7〜9月)の売上高は3億7,420万ユーロで、為替変動を除くベースで13.5%増と、同社自身の当初想定をやや上回ったという。

同社が開示したチャネル別の内訳からは、この伸びがどこから来ているかが見えてくる。自社ブティックを中心とする直営小売チャネルの売上高は7億4,100万ユーロで、9カ月間で為替変動を除くベースで19%増(第3四半期単独では17%増)となり、総売上高に占める比率は前年の63.4%から66.0%へ上昇した。直営店舗数は9月30日時点で142店。年前半にナッシュビルとネープルズ、第3四半期にサンディエゴで新規出店した。一方、専門店や百貨店を通じた卸売チャネルはより緩やかな伸びにとどまり、為替変動を除くベースで4%増の3億8,260万ユーロ(第3四半期は7%増)。2026年秋冬コレクションの納品が支えたという。

地域別(為替変動除くベース)では、南北アメリカが売上高4億1,830万ユーロ、20%増とグループ全体の37.2%を占め、単一地域として最大となった。主要都市やリゾート地、新興エリアを含め幅広い需要があったという。欧州は7%増の3億9,390万ユーロ(売上高の35.1%)で、現地顧客に加え海外からの富裕層観光客の寄与が背景にあるとした。アジアは14%増の3億1,145万ユーロ(同27.7%)で、年間を通じ四半期ごとに二桁成長を続けた。中国が同地域の成長の主な牽引役であり続け、同国では直営小売チャネルの比重が高まっているという。同じアジアの数値の中で、日本と韓国については「現地顧客を中心に、引き続き好調な結果をもたらしている」とされたが、両市場それぞれの売上高は開示していない。

創業者でエグゼクティブ・チェアマン兼クリエイティブ・ディレクターのブルネロ・クチネリ氏はリリースの中で、「2026年の最初の9カ月は、為替変動を除くベースで売上高が13.3%増となって終えた。これは特に興味深い結果だと考えている」とコメントした。同社は2027年通期の売上成長率についても、約10%という従来見通しを据え置いた。2027年春夏コレクションの受注が男女とも好調に終了したことと、9月のミラノ・ファッションウィークでの評判の良さを理由に挙げている。

リリースでは、同社制作のドキュメンタリー映画「Brunello, il visionario garbato」の試写会を、翌週に東京、上海、香港で開催する予定であることにも触れている。上海では、ゲストをもてなす施設「Casa Cucinelli」の世界10拠点目のオープンも予定されている。

注目すべきは、日本の成長について同社がどう位置づけているかという点だ。欧州について語る際のような「観光消費」の文脈ではなく、現地顧客に支えられた成長として語られている。これは、見出し上の伸び率の実質が中国によるところが大きいアジア地域の中にあってのことだ。自社ブティックと百貨店の両方で商売をする同ブランドにとって、これはインバウンド消費に頼るよりも、年末商戦の仕入れ計画を立てやすい、より安定した需要のかたちと言える。しかもそれは、グループの通期見通しが年初から数えて2度目の上方修正を迎えたタイミングで示された。

2026年1〜9月期 地域別売上成長率(為替変動除く)

前年同期比(為替変動除く、%)

+7.0%欧州+20.0%南北アメリカ+14.0%アジア+13.0%グループ全体
同社プレスリリース(2026年1〜9月期売上高に関する取締役会レビュー) · 作図:floortok