キャプリ・ホールディングス、アジア売上高は2.9%減にとどまる一方、米州は大幅減、ジミー チュウは営業黒字に転換
キャプリ・ホールディングスの第2四半期決算では、マイケル・コースが東京・銀座に店舗を構え、ジミー チュウも展開するアジア地域の売上高が2.9%減にとどまったのに対し、米州は9.0%減と落ち込みが目立った。キャプリ自身の為替差や円安を踏まえると、その差の一部は需要ではなく換算の影響とも読める。日本の売場にとってより意味が大きいのは、ジミー チュウが営業利益を回復した点だろう。

マイケル・コースとジミー チュウを傘下に持つニューヨーク上場のキャプリ・ホールディングスは10月30日、米証券取引委員会(SEC)に提出した決算資料で、2027年3月期第2四半期(7〜9月)の売上高が8億900万ドルとなり、前年同期比5.5%減(為替一定ベースで4.9%減)だったと発表した。この数値は継続事業のみが対象で、2025年12月2日に完了したヴェルサーチ事業売却の影響は両年度から除かれている。
主力のマイケル・コースの売上高は6億6,300万ドルで8.6%減だった。一方、ジミー チュウは11.5%増の1億4,600万ドルとなり、前年同期の営業損失から200万ドルの営業利益に転じたと同社は説明した。グループ全体の調整後営業利益は2,000万ドルから3,100万ドルに増加。GAAPベースでは、営業損益が1,200万ドルの損失から1,000万ドルの利益に、純損益も3,400万ドルの損失から2,700万ドルの利益にそれぞれ転じた。
キャプリは日本単独の数値を開示していない。日本は、マイケル・コースが東京・銀座に店舗を構え(同ブランドの日本公式サイトによる)、百貨店内のコンセッションも展開し、ジミー チュウも販売する、より広いアジア地域に含まれる。ブランド別では、マイケル・コースのアジア売上高が7,400万ドルから7,300万ドルに、ジミー チュウが3,000万ドルから2,800万ドルに、それぞれ減少した。両ブランドを合算すると、アジアの売上高は2.9%減の1億100万ドルとなり、米州の9.0%減(4億4,700万ドルへ)より落ち込みは緩やかだった。欧州・中東・アフリカ(EMEA)は合算で2億6,100万ドルと前年と同水準で、ジミー チュウのEMEA売上高が13.4%伸びた一方、マイケル・コースのEMEAは4.6%減となり、互いに相殺した形だ(地域別の合算値はキャプリが開示する数値に基づくfloortok試算)。
最高経営責任者のジョン・アイドル氏は発表の中で「マイケル・コースとジミー チュウの両ブランドで勢いが高まっていることを心強く感じている」と述べた。
同社は2027年3月期の通期見通しを今期に入って2回目となる上方修正を行い、売上高を約34億2,000万ドル、営業利益を約1億7,500万ドル、調整後1株当たり利益を約2.20ドルとした。8月時点の見通しは売上高約34億ドル、営業利益約1億7,000万ドル、1株当たり利益約2.15ドルだった。今回の四半期は、同社が8月に示した第2四半期の売上高見通し約7億8,000万ドルを約3,000万ドル上回る結果となった。第3四半期の売上高見通しは約10億500万ドルで、本来は第3四半期分だった卸売出荷2,000万ドルが第2四半期に前倒しされた影響を含むという。
店舗数の縮小は続いており、四半期末時点で世界の店舗数は860店、前年同期の907店から減少した。マイケル・コースは691店から655店、ジミー チュウは216店から205店に減った。国別の店舗数は開示されていない。
今期をどう読むか
アジアの相対的な底堅さの一部は、需要というより為替の影響かもしれない。米連邦準備制度のデータによると、ドル円相場は7〜9月期に平均1ドル=159円前後となり、前年同期の148円前後から約8%の円安が進んだ(floortok試算)。これは、日本を含むキャプリのアジア地域が計上する円建て売上高のドル換算額を、現場で何も変わらなくても目減りさせる方向に働く。キャプリ自身の数値もそれを小さく裏付けている。グループ全体の売上高は報告ベースで5.5%減、為替一定ベースで4.9%減と、報告ベースの方が大きく落ち込んでおり、同社はその差を為替の影響としている。
floortokの決算ルームで並べると、キャプリのアジアの数値は同業の中では中位に位置する。日本を含むアジア部門を持つラルフ ローレンは、直近開示の2026年4〜6月期にアジア売上高が24%増(為替一定ベース25%増)となった。コーチを擁するタペストリー(Tapestry)は2026年3月期通期(〜6月)で日本を唯一の減収地域とし、為替一定ベースで7%減だった一方、大中華圏は35%増となった。キャプリのアジア売上高の2.9%減は、ラルフ ローレンが示す地域的な好調に乗っているわけではないが、タペストリーの日本単独の落ち込みほど急でもない。
日本のラグジュアリー売場にとっては、地域別の数字よりブランドごとの明暗の方が持続的な意味を持つかもしれない。ジミー チュウが営業利益を回復し、2桁増収となったことは、百貨店のバイヤーやキャプリ自身が同ブランドの靴やバッグに力を入れる理由を強めるだろう。一方、マイケル・コースのアクセシブル・ラグジュアリーという立ち位置は、米州で続く値引き圧力の強い環境を引き受け続けており、日本を含むアジア事業はこれまでのところその影響を免れている。
前年同期比(%、マイケル・コースとジミー チュウの合算)