福岡三越、"グローカル百貨店"へ再編 上層階のラシックには九州最大級のアニメイトと@cosme STOREが出店
岩田屋三越は、2027年秋にリモデルオープンする福岡三越・ラシック福岡天神の主要テナントとして、アニメイトと@cosme STOREを発表した。いずれも九州エリア最大級の売り場面積での出店となり、百貨店フロアは上質な文化提案へ、専門店ゾーンは好きなものでつながる「界隈消費」へと軸足を移す。

岩田屋三越は8月3日、福岡市中心部にある福岡三越と隣接する専門店ゾーン「ラシック福岡天神」について、2026年春から段階的に進めている改装の「第二報」として、2027年秋のリモデルオープンに向けた主要テナントの一部を発表した。全国でアニメ・コミック・ゲームを展開する「アニメイト」が8階に2026年10月24日開業し、コスメ小売の「@cosme STORE」が6階に2027年6月30日開業予定で、いずれも売り場面積は九州エリア最大級になるという。
両テナントの出店は、天神2-1-1に所在する店舗面積約38,000平方メートルの施設全体の再編の一環だ。岩田屋三越は、下層階の福岡三越を文化や伝統芸術、上質な暮らしの提案を軸とした「高感度上質消費」の場として再構築し、同店が目指す「グローカル百貨店」への進化の一環と位置づける一方、上層階のラシックは、好きなものや関心でつながる仲間と出会う「界隈消費」を軸に再編するという。改装工事は段階的に進めており、工事期間中も店舗の営業を継続するとしている。
アニメイトはすでに全国47都道府県に125店舗を展開しており、福岡天神店では、キャラクターをあしらったラテやカフェのコンセプト、有料の展示スペース、Cygamesのコンテンツを扱うコンビニ風ショップなど、九州初出店となる複数の業態を導入するという。@cosme STOREは、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」のクチコミデータをもとに、プチプラからデパコスまでを揃え、店内では美容部員によるカウンセリングも行う。
この組み合わせから、岩田屋三越が実際にどのレバーを引こうとしているかが見えてくる。目立つ2つのフロアを、新たなアパレルや雑貨テナントではなく、ファンコミュニティを軸とする事業者に割り当てたのは、商品構成と売り場演出の両面での賭けであり、来店動機がもはや商品そのものだけでなく共通の熱量にも左右されるという読みを示している。これは、百貨店本体だけでは取り込みにくい若年層・高頻度来店層を、アニメやキャラクター、コスメの専門テナントで呼び込もうとする、他の日本の百貨店にも広がる動きとも重なる。館の性格をここまで明確に切り分けたことは、既存客向けの百貨店としての価値を維持しながら、数フロア上でまったく異なるモデルを試す、一種のヘッジとも読める。
岩田屋三越は、今後さらにテナントやフロア構成の詳細を発表するとしており、2つの目玉テナントの間にあるフロアがどうなるかを含め、改装全体の姿はまだ明らかになっていない。