floortok

ジャーナル

·
ニュース

イッセイ ミヤケ、JAXAの南極観測衛星画像をジャカード織りのジーンズに ― 21_21 DESIGN SIGHTで展示

イッセイ ミヤケは、JAXAの気候観測衛星「しきさい」が捉えた南極の画像を、プリントではなく織りで表現したジーンズを、東京の21_21 DESIGN SIGHTで11月19日まで展示する。東京大学との共同開発によるファブリックの試作も披露するが、価格や発売については現時点で未発表。

ギャラリーの天窓から床へと流れ落ちる、氷塊のような淡い模様をあしらった藍色の長い布を描いたイラスト。天窓の上には小さな人工衛星のシルエットが浮かび、後ろ姿の来場者が二人、それを見上げている。
イラスト:floortok.com

東京の展示施設21_21 DESIGN SIGHTを運営する株式会社イッセイミヤケは、10月21日より、ブランド「A-POC ABLE ISSEY MIYAKE」とJAXA(宇宙航空研究開発機構)が組んだ特別企画展を開催している。会期は11月19日まで、会場は東京ミッドタウン・ガーデン内のギャラリー3で、火曜休館。タイトルは『一枚の布の可能性』TYPE-XVII JAXA project by A-POC ABLE ISSEY MIYAKE。同社の発表による。

展示の中心となるのは、高度なジャカード織機で織られたジーンズだ。画像をプリントするのではなく、織りの密度を変化させることで、南極の風景そのものを生地の構造に織り込んでいる。元になったのは、JAXAの気候変動観測衛星「しきさい」が撮影した画像で、平均約2キロメートルの厚さを持つ氷床に亀裂が入り、濃い青色の海面が覗いている様子を捉えたものだという。

ジーンズと並行して、A-POC ABLEは将来の衣料を見据えた試作ファブリックも開発した。同じ衛星画像を出発点に新たな布の構造を探るもので、折り紙の幾何学を研究する東京大学の舘知宏研究室が研究協力している。イッセイ ミヤケは、この技術が衣料だけでなく室内装飾や建築材料にも展開できる可能性があるとし、宇宙空間や極地環境を今後の研究における「創造の条件」として挙げている。

イッセイ ミヤケ自身の発表では、ジーンズと試作ファブリックはあくまで展示作品として扱われており、価格、発売日、販売チャネルのいずれも明らかにされていない。一部のメディアはジーンズの発売日や取扱店舗を報じているが、floortokはイッセイ ミヤケ自身の発信でこれを確認できなかったため、本稿では採用していない。

「一枚の布」という哲学を掲げるブランドにとって、この企画は店頭戦略というより、プロダクト面での挑戦と見るべきだろう。日本のデザインハウスが、日本の宇宙機関、そして東京大学の研究室と組むことで、コンセプトから衛星データ、素材研究まで一連の創造の過程を国内に留めている。A-POC ABLEにとっては、店頭に並ぶより先に――あるいは店頭に並ぶ代わりに――語るべき研究のストーリーを得たことになる。この技術がいつ、どのような形で価格のつく商品になるのかが、今後の注目点だ。