Jフロントリテイリング、免税・外商売上の好調で通期事業利益予想を上方修正 大丸梅田改装の影響は吸収
大丸・松坂屋、パルコを傘下に持つJフロントリテイリングは、中間期の売上収益が2.8%減ったにもかかわらず、通期の事業利益予想を535億円に上方修正した。百貨店事業での外商・免税売上の伸びに加え、好調な渋谷パルコと新たに開業した名古屋のハエラが、大丸梅田店の改装に伴う売場閉鎖の影響を打ち消した。

大丸・松坂屋、パルコを傘下に持つJフロントリテイリング株式会社は10月13日提出の中間期決算短信で、2027年2月期通期の事業利益予想を535億円に上方修正したと発表した。4月公表の予想から2.9%、前期実績からは5.7%の上積みとなる。百貨店事業における外商・免税売上が8月までの中間期で会社計画を上回る好調さを見せたことが理由だという。
この上方修正は、中間期の連結業績そのものは減収減益だったにもかかわらず行われた。売上収益は前年同期比2.8%減の2,138億21百万円、事業利益は同5.6%減の265億91百万円となり、同社は主な要因として、大阪・梅田にある大丸梅田店の大型改装に伴う売場閉鎖と、前年同期にあった大阪・関西万博関連売上の反動減を挙げた。営業利益は同10.5%減の268億13百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は同5.3%減の173億79百万円だった。
外商・免税は拡大も、梅田改装の影響は中間期に重くのしかかる
百貨店事業セグメント単体で見ると、外商を中心とした富裕層売上や免税売上はいずれも拡大したとJフロントは説明する。それでも、大丸梅田店の売場閉鎖に加え、広告宣伝費の増加やベースアップによる人件費の増加がこれを上回り、セグメントの売上収益は前年同期比1.0%減の1,283億51百万円、事業利益は同2.6%減の155億86百万円となった。中間期中には大丸芦屋店が5年ぶりとなる全館リニューアルを完了したほか、化粧品情報メディア「DEPACO」が初のリアルショップをグループ店舗内に出店している。
同社によれば、中間期のわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費が底堅く推移するなど緩やかな回復基調を持続した。訪日外国人の消費も、日中関係の影響を受けつつも円安を背景に堅調に推移したという。一方で、中東情勢によるエネルギー価格の高止まりや物価上昇による消費への影響、金融・為替市場の変動など、景気の下振れリスクには引き続き注意が必要だとしている。
伸びを支えたのはパルコ
百貨店事業がもたらせなかった増収分は、グループ内の別の事業が担った。パルコを中核とするSC事業の売上収益は前年同期比7.3%増の355億15百万円となり、同社は前年に大型改装を実施した渋谷PARCOの好調と、6月11日に開業した名古屋・栄エリアの複合施設「HAERA(ハエラ)」の存在を要因に挙げた。もっとも、セグメントの営業利益は同19.8%減。前年同期に旧松本PARCOの不動産売却に伴うリース解約益を計上した反動によるものだという。現在は心斎橋PARCOと池袋PARCOで、それぞれ開業以来最大規模となる大型改装が進められている。
グループ各社・外部向けに店舗・施設の内装や施工を手がけるデベロッパー事業は、前年の大口受注の反動減により、売上収益が同9.8%減の390億40百万円、事業利益が同18.4%減の36億28百万円となった。一方、決済・金融事業は明確な増益要因となった。カード発行枚数の増加や取扱高拡大による加盟店手数料収入の増加により、事業利益は同75.7%増の7億89百万円となっている。
今回の決算が示す構図は、日本の百貨店グループに共通して見られるものになりつつある。百貨店という中核の売場そのものは縮小が続く一方、そこに残る訪日客や富裕層の消費は伸びており、増収を実際に生み出しているのはモールの改装や複合施設の開業など、ポートフォリオの別の部分だという構図だ。Jフロントは年間配当予想を1株56円で据え置いており、今回の上方修正を、株主還元を積み増すほどの驚きというより、すでに進行していた流れの確認と位置づけていることがうかがえる。
前年同期比(%)