免税制度の見直し、摩擦は「出口」へ移る
11月、その場での免税が消え、払い戻しの窓口が取って代わる。書面上は手続きの話だが、ラグジュアリーの売り場では戦略の話だ。
2026年11月1日から、日本は訪日客が長く享受してきた「その場で免税」の仕組みを、払い戻し方式へと切り替える。買い物客はいったん消費税10%を含む税込み価格を支払い、出国前に手続きを済ませた上で還付を受けることになる。
手続きの変更が、売り場に効いてくる

コンビニの買い物なら、その差は誤差にすぎない。だが百貨店フロアのメゾンにとっては——ハンドバッグ一点が数十万円に達する世界では——この変更は、相応の金額を「購入の瞬間」から「出国の瞬間」へと移し、その間に一つ手順を差し込むことを意味する。
その場での免税は、単なる税の一行ではなかった。それは「クロージング」の一部だった——客が迷う前に、販売員が示せる数字だったのだ。それをカウンターから外せば、高単価販売の所作そのものが変わる。
免税は、レシートではなく売り口上の一部だった。空港へ移すことは、それを販売の場から切り離すことだ。
大手各社の出方を見たい。還付を「自社が解決すべき課題」として扱う店——専任の窓口、多言語対応、行列ではなく落ち着いて待てる場所を用意する店——は、インバウンドの客単価を守るだろう。一方、旅行者に書類を渡して空港を指さすだけの店は、何年もかけて取り戻してきた利益を、静かに手放すことになる。