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分析

8月の訪日外客数は前年比9.6%減、中国の落ち込みが深まる一方14市場は過去最高

8月の訪日中国人客は中国政府の渡航自粛要請を受けて前年から6割近く落ち込んだ一方、ソウルからローマまで複数の市場が過去最高を記録し、日本の高級品フロアを支える需要の重心が変わりつつあることを示した。

空港コンコースの長いエスカレーターの下に、荷物を持った旅行者たちが到着する様子を描いたイラスト
イラスト:floortok.com

日本政府観光局(JNTO)によると、8月の訪日外客数は309万8900人で、前年同月比9.6%減となった。全体の減少は内訳を見るといびつだ。中国からの客数が6割近く落ち込んだことが総数を押し下げた一方、10以上の市場は8月として過去最高を記録した。

中国からの訪日客数は前年同月の101万8747人から41万8000人へ、59.0%減となった。JNTOは、中国政府が自国民に日本への渡航を控えるよう注意喚起したことを要因に挙げ、航空便の減便も影響したとした。他の多くの市場では夏休み需要が下支えとなったのとは対照的だ。

中国以外は軒並み過去最高

JNTOによれば、韓国(前年比28.7%増の85万500人)、台湾(同7.3%増の66万6000人)、香港(同9.4%増の24万7300人)を含む14市場が8月として過去最高を記録した。イタリア(同15.1%増の4万7300人)とスペイン(同14.1%増の3万6500人)は、月間としてこれまでで最も多い訪日客数を記録した。JNTOは、継続する訪日旅行人気に加え、夏休みの時期やマドリード-成田便の増便などを要因に挙げている。

東南アジアは軒並み弱含みだった。タイは同9.3%減、フィリピンは同11.6%減、ベトナムは同7.5%減。JNTOは、夏場は訪日需要が落ち着く時期であることに加え、航空便の減少や中国への旅行人気の継続などを要因として挙げた。台風による航空便への影響も一部の東アジア市場に及んだが、韓国・台湾・香港はそれでも過去最高を記録した。

客層構成の変化がフロアに意味すること

百貨店の免税カウンターや免税店にとっては、総数以上に客層構成が重要になる。中国は訪日客数に占める比率以上に、日本のラグジュアリー・免税消費を牽引してきた経緯があり、6割近い落ち込みは見出しの9.6%減という数字以上に、中国客を軸に組んできたカウンターに重くのしかかる。韓国・米国・欧州にわたる幅広い増加が客数面での下支えにはなるものの、客単価の面では必ずしも同じではない。

1〜8月の累計訪日外客数は2762万6300人で、前年同期比2.7%減とJNTOは発表した。2024〜2025年に記録した勢いにはなお及ばないが、秋の旅行シーズンを迎えるにあたり、日本の高級品フロアが最も注視しているのは総数そのものより、その内訳だ。

2026年8月の訪日外客数(市場別)

前年同月比(%)

−59.0%中国+28.7%韓国+7.3%台湾+9.4%香港+15.1%イタリア+1.5%米国
JNTO 訪日外客数統計 · 作図:floortok