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分析

7月の百貨店売上高は身の回り品がけん引、中部は5カ月連続の減少

経済産業省の7月確報で百貨店売上高は前年同月比4.3%増となったが、伸びたのは身の回り品(+9.4%)と衣料品(+5.6%)という訪日客が買う商品区分で、デパ地下は横ばい。回復は関東が担い、中部には届いていない。

百貨店1階の身の回り品売場を描いたイラスト。吹き抜けの下にバッグや靴のガラスカウンターが並び、買い物客がシルエットで描かれている
イラスト:floortok.com

経済産業省が9月15日に公表した商業動態統計の確報によると、7月の全国百貨店売上高は5346億円で、前年同月比4.3%増だった。2026年に入って5月(+7.6%)、4月(+4.5%)に次ぐ伸びだが、前年の7月が中国人客の落ち込みで6.6%減だった反動も大きい。読みどころは確報にだけ載る商品別の内訳で、floortokのマーケットデータに今週加えた系列を見ると、伸びはほぼ訪日客が買う商品区分に集中している。

身の回り品(かばん、靴、装身具など。革製品売場に最も近い公的な区分)は9.4%増の902億円と3区分で最も強く、4月(+9.2%)、5月(+16.3%)、6月(+6.6%)に続いて4カ月連続で6%を超える伸びとなった。衣料品は5.6%増の2211億円。一方、国内客の来店を支えるデパ地下の飲食料品は、6月の3.5%減に続いて0.5%減の1448億円と足踏みした。構成比も動いた。身の回り品は売上全体の16.9%と前年同月の16.1%から高まり、飲食料品は28.4%から27.1%へ下がっている。

2026年7月の百貨店売上高(商品別)

前年同月比(%)

+9.4%身の回り品+5.6%衣料品−0.5%飲食料品+4.3%合計
経済産業省 商業動態統計(2026年7月分確報) · 作図:floortok

誰が買っているのか

経済産業省の統計は商品区分の中で免税売上と国内売上を分けていないため、身の回り品の伸びを訪日客によるものと断定はできない。ただ、訪日客数のデータはその方向を示している。JNTOが9月16日に発表した8月の訪日外客数は、韓国が28.7%増の85万500人、香港が9.4%増、台湾が7.3%増だった一方、中国は59.0%減で、JNTOは中国政府による日本渡航の自粛要請を要因に挙げた。しかも来日した客の財布は前年より膨らんでいる。米連邦準備制度の月中平均で、8月の対円相場は100ウォンあたり11.32円(前年同月10.62円)、香港ドルは20.25円(同18.84円)だった。floortokの見立てでは、これが7月の売場の構図だ。中国の団体客が減り、有利なレートを持つ韓国・台湾・香港の個人客が増え、その消費はデパ地下より先にバッグと靴に落ちる。

東京が支え、名古屋は届かず

同じく今週マーケットデータに加えた地域別の内訳は、回復がどこで起きているかを示す。東京都と近隣県を管轄する関東経済産業局管内は2462億円と全国の46%を占め、4大地域で最も高い6.9%増。近畿(大阪・京都・神戸)は4.8%増の1524億円、九州・沖縄は4.6%増の435億円だった。一方、名古屋を含む中部は8.4%減の410億円で、3月(−3.6%)、4月(−3.8%)、5月(−1.2%)、6月(−9.0%)に続く5カ月連続の減少となり、2月の13.2%増から一転した。

2026年7月の百貨店売上高(地域別)

前年同月比(%)

+6.9%関東+4.8%近畿+4.6%九州・沖縄−8.4%中部+4.3%全国
経済産業省 商業動態統計(2026年7月分確報) · 作図:floortok

経済産業省の表は数字を示すだけで、理由までは語らない。中部の月間売上は410億円と関東の2462億円に比べて小さく、大型店1店の工事でも線が動く。しかも同地域の主力店は改装の途中にある。ジェイアール名古屋タカシマヤの食料品フロア改装は今週第4期に入り、floortokの見立てでは、この規模の改装は工事期間中の売場面積を確実に減らす。減少が改装要因か需要要因かは売場が再開してからでなければ判断できず、それまで中部の数字は解釈するより注視する対象だ。

中部の百貨店売上高(2026年)

前年同月比(%)

2026年1月2026年7月
経済産業省 商業動態統計(中部経済産業局管内) · 作図:floortok

次に見るべきもの

メゾンや売場運営者にとっての7月の教訓は、動かしているのが販促ではなく商品だということだ。伸びたのはブランド区画の商品区分で、来店を生むデパ地下は成長を生んでいない。この構図が続くかどうかは、二つの日付で決まる。9月30日に出る経済産業省の8月速報は、韓国・香港客の急増が同じ月の身の回り品に反映されたかを示す。そして11月1日、日本の免税販売はリファンド方式に移り、訪日客はいったんレジで消費税を払い、出国時に還付を受ける。レジで徴収してあとで返す仕組みは初めてで、免税カウンターの列を運営する側は誰もが注視することになる。中国人客が59%減のまま8月の身の回り品が一桁後半の伸びを保てば、売場は代わりの客を見つけたことになる。保てなければ、7月の伸びは前年の反動にすぎない。