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近鉄百貨店、あべのハルカス本店は9月に売上20.1%増も全店合計は5.3%減

近鉄百貨店の旗艦店、あべのハルカス近鉄本店は9月、7カ月連続で全部門が前年を上回る好調を記録した一方、8店舗合計の売上高は5.3%減となった。グループの勢いがいかに単一の旗艦店に依存しているかを示す結果だ。

百貨店の高層タワーを断面で描いたイラスト。各階に買い物客のシルエットが並び、足元には低層の建物が静かに連なる。
イラスト:floortok.com

近鉄百貨店は10月1日付の自社売上速報で、日本一の高さを誇るあべのハルカスに入る旗艦店「あべのハルカス近鉄本店」の9月の売上高が前年同月比20.1%増となったと発表した。全部門が前年実績を上回るのは7カ月連続という。一方、全8店舗の合計売上高は前年比5.3%減少した。

同社によると、あべのハルカス近鉄本店の好調を牽引したのは、開業以来最高の売上を記録した物産展「大北海道展」や、徳島県をテーマにした地方創生プロジェクト「ハルカス・ニッポン博覧会 徳島編」などの催事で、国内売上・インバウンド売上ともに好調だったという。商品別では、シルバーウィークの手土産需要で菓子が好調だったほか、気温低下により婦人服では薄手ニットやカーディガン、秋素材のジャケットが動いた。新規開業したブランドは目標を大きく上回る好調な立ち上がりとなり、外商売上や外商顧客向けの特別イベントも引き続き堅調だったとしている。

上本町店(5.3%増)、東大阪店(5.1%増)、奈良店(4.0%増)、橿原店(6.5%増)、生駒店(4.1%増)、和歌山店(4.2%増)、草津店(3.5%増)、四日市店(3.8%増)と、他の8店舗もそれぞれ単月でプラスを記録した。それでも全店合計は5.3%減となった。これには2026年2月28日に閉店した名古屋店の影響が含まれており、名古屋店の前年実績を控除した既存店ベースでも3.6%減だったと同社は明らかにした。

単純な合計値よりも、この内訳の方が実態を物語る。近鉄百貨店の成長は、大阪で最も高い超高層ビルに入り、催事や訪日需要による集客力を持つ旗艦店1店舗に強く依存する構図になりつつある。各店がそれぞれ増収を確保していても、閉店した1店舗分の規模を補うには至っていない。大型で体験型の旗艦店が集客を担い、中小規模の地方店舗が静かに縮小していくという構図は、日本の百貨店業界全体に広がりつつある流れでもある。

焦点は、あべのハルカスの催事ラッシュが一服した後も同じペースを維持できるか、そして増収を続ける残り8店舗の合計が、いつか単独でグループ全体をプラスに押し上げられるかどうかだ。

近鉄百貨店 2026年9月 売上高(集計範囲別)

前年同月比(%)

+20.1%あべのハルカス本店−5.3%全店合計−3.6%既存店
近鉄百貨店 2026年9月売上速報 · 作図:floortok