floortok

Journal

·
フィールドノート

創業76年の京都・引染め工房、祭礼幕の技法を日用品に落とし込み高島屋京都店へ

のれんや祭礼幕を手作業で染める京都の老舗工房「kiten.kyoto」が、高島屋京都店の催事スペースに1週間限定で出店。通常は店先や社寺向けに用いる技法を、日用品という形で提案する。

静かな工房で、刷毛で染められた布の幕が干されている様子を描いたイラスト
イラスト:floortok.com

創業76年の京都の工房、加藤憲旗店のブランド「kiten.kyoto」が、10月7日から13日まで高島屋京都店2階のポップアップステージ21に出店する。営業時間は午前10時30分から午後8時まで、入場無料。高島屋が展開する「つなぐアクション」の一環だという。

同工房は、染料を刷毛で直接刷り込む「引染め」という技法で、のれんや社寺の祭礼幕を手がけてきた。浸し染めとは異なり手作業で仕上げるため、一枚ごとに色合いや筆致が微妙に異なるという。今回のポップアップでは、この技法を日用品に応用。綿製の前掛け「MAKU」(4色、1万3750円)に加え、調理用コート、腰巻きエプロン、パソコンケースやガジェットポーチを含む「HANTEN」シリーズ、風呂敷を用いたトートバッグなどを販売する。

通常は捨てられる生地の端の刷毛跡をあえてデザインのアクセントとして残し、一部の商品には祭礼幕を束ねる際の絞りの形を意匠として取り入れているという。同社は、のれんや幕は日常の街並みの一部でありながらその存在にはあまり目が向けられてこなかったとして、誰がどのような技法でつくっているのかを知ってもらいたいとしている。

百貨店の催事フロアの手法としては、規模の小さな一例だ。通常は価格のつかない店先のれんや社寺の祭礼幕を手がける工芸工房が、1週間限定で日用品という価格のついた形に翻案し、大型テナントの話題の間を埋める。常設出店という双方のコミットメントを伴わずに実現できる点が、こうした催事の使い勝手の良さを示している。