三井不動産、日本橋の商業施設群でスマホ屋内ナビ「IndoorFlow」の提供を開始
三井不動産は10月1日、日本橋駅周辺の商業ビル6施設でスマートフォンによる屋内ナビゲーションサービスの提供を始めた。地下に広がる商業エリア特有の経路案内の難しさに対する具体策であり、事前実証で参加者の到達率100%という結果を得た上で、同社は八重洲・東京駅方面への展開も視野に入れている。

三井不動産は10月2日の発表で、ホンダ発のスタートアップ、アシラセと共同開発したスマートフォン向け屋内ナビゲーションサービス「IndoorFlow」を10月1日から、COREDO室町1・2・3・テラス、日本橋三井タワー、YUITOの日本橋駅周辺6施設で稼働させたと明らかにした。
同サービスはスマートフォンのカメラを使って屋内の位置を特定する画像測位技術(VPS)を採用し、GPSの届かない地下や屋内でも機能する。同社によれば、施設側に新たな専用機器を設置する必要はないという。視覚障害者には音声・振動で経路を案内し、それ以外の利用者には多言語対応の画面表示でルートを示す。車いす利用者向けのバリアフリー経路を含め、利用者の状況に応じた経路設定が可能で、誰でも使えるトイレや授乳室、改札口、コインロッカー、飲食店などへの案内にも対応する。
三井不動産によると、本格導入に先立ち視覚障害者や車いす利用者を含む42人を対象に実証実験を行ったところ、全員が目的地に到達し、88%が「移動時の不安が減った」、95%が「行ける場所が増えた」と回答したという。同社は今後、八重洲・東京駅エリアへの展開やMICEイベントでの活用、将来的な全国展開も検討するとしている。
日本橋は地下通路と複数のビルが入り組む典型的な「GPSが効きにくい」エリアであり、今回の対象6施設は三井不動産の物件である。つまり今回のナビゲーション機能は単体の新サービスというより、同社が端から端まで掌握する資産運用の一部と見るべきだろう。飲食店やレジ、トイレまで不安なくたどり着けることは来訪者の滞在時間を延ばすことにつながり、車いす利用者や視覚障害者にとって摩擦のない動線は、訪日客の増加と国内客の高齢化が同時に進む中でますます標準装備になりつつある。本当の試金石は、管理された条件下で実証実験に参加した42人を超えてどこまで利用が広がるかであり、八重洲・東京駅方面への拡張が一つのエリアの改善策を面的なネットワークへと変えられるかどうかだ。