三井不動産、銀座並木通りの角地を建て替え——1873年創業の画廊は上層に、時計メゾンは下層に
6月初旬に発表された並木通りの8階建て建て替えは、上下できれいに分かれる。上層には153年続く画廊がそのまま残り、下層にはジャガー・ルクルトの日本旗艦店が入る。開業は8月中旬の予定。

三井不動産は、銀座五丁目・並木通りに面する「阿部養清堂ビル」の建設工事を2026年3月31日に完了し、6月8日に発表した。同社によれば、地上8階建ての建物には2つのテナントが入る。1873年創業の養清堂画廊が5階から8階に戻り、1階から4階にはジャガー・ルクルトの旗艦ブティックが開業する。着工は2024年7月。敷地面積は約104平方メートル、延床面積は約605平方メートルで、そのうちテナントの貸室面積は約442平方メートルだという。
養清堂画廊は2026年8月17日に再開の予定。三井不動産によれば、ジャガー・ルクルトの銀座旗艦店は2026年8月中旬の開業を計画している。同メゾンは1833年、スイスのヴァレ・ド・ジューで創業し、これまでに1,400を超えるムーブメント(キャリバー)を開発してきたとしている。三井不動産の発表は、並木通りが近年ビルの建て替えが相次ぎ、ウォッチ・宝飾ブランドおよびメゾンブランドの集積が進んでいる通りだと説明している。
着目すべきは、この上下の配置だ。メゾンの旗艦店のために歴史ある店子を退去させる——銀座の再開発でより馴染み深い展開——のではなく、三井不動産は画廊とウォッチメゾンをそれぞれ独立した区画のまま、同じ住所に共存させる形を選んだ。世界で最も賃料の高い商業通りの一つで、しかも多くのデベロッパーであれば単一の最高賃料テナントのために最大化してしまうであろう小規模な角地において、大家が「更地からの一新」よりも「継続性」を選んだ、と読める。
このビル複合施設はfloortokが追跡対象とする店舗群には含まれないため、「オン・ザ・フロア」カレンダーには掲載されない。だが、この組み合わせは、銀座の供給側について何を語るかという点で注目に値する。伝統ある店子とメゾンの旗艦店は、必ずしも一等地の奪い合いにはならない。両者を前提に設計する意志のあるデベロッパーであれば、老舗を「立ち退かせる相手」ではなく「アンカー」として保持する道を、より容易に見出せるかもしれない。