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休耕田のコットンで織ったクチュールシャツ、伊勢丹新宿のランジェリー売場に並ぶ

渋谷の小さなサステナブルブランドが、島根県の休耕田で育てたコットンから作ったシャツを、伊勢丹新宿店のランジェリー売場で限定販売している。国産の、生産過程を追える素材が、工芸フェアの域を出て百貨店の売場に入り込んできたことを示す小さな、しかし見逃せない動きだ。

百貨店ブティックの一角を描いた静かなイラスト。台の上に折られたシャツが並び、窓の外には遠くの棚田の丘陵がやわらかく溶け込む。後ろ姿の客のシルエットが一人佇む。
イラスト:floortok.com

オーガニックコットンブランド「nanadecor」を手がける渋谷の有限会社Julietteは、伊勢丹新宿店本館で開催中のサステナビリティ催事「think good 2026」にあわせ、シャツ・ブラウス・パジャマの限定カプセルコレクションを10月7日から20日まで販売すると発表した。

このカプセルは、nanadecorが2021年に始めたプロジェクト「Seed to Wear(種から服へ)」の一環。島根県雲南市の「日本の棚田百景」に選ばれる山王寺地区の棚田で、休耕田を2021年にコットン栽培に転換して育てた綿を使用している。同社によれば、できあがる超長綿は世界的にも極めて珍しい品種で、無農薬・手摘みで収穫し、種まきから紡績・縫製まで一貫して日本国内で行っているという。

本館3階「マ・ランジェリー」で販売するのは、オーガニックコットンを経糸に、島根産のコットンを緯糸に使ったシャツ(税込71,500円)、ブラウス(同88,000円)、パジャマ(同77,000円)で、サイズはMとL。いずれも数量限定の販売だという。

百貨店が婦人下着フロアの一角を、国内産の素材にまつわるストーリーを持つ小規模ブランドに3週間貸し出すのは、販促策であると同時に、商品そのものの手応えを試す動きでもある。デパ地下がメゾンの需要を本格出店の前に見極める場として機能してきたのと同じ論理を、食ではなく国内農業の素材に当てはめた形だ。シャツ・ブラウス・パジャマの3品、サイズ2展開という規模感はあくまで小さな実験であり、今回限りの催事で終わるのか、伊勢丹が同種の国産素材ブランドに同じ枠を再び与えるのかが注目点となる。