floortok

ジャーナル

·
ニュース

ナイキ、2027年度第1四半期は大中華圏が26%減 日本を含むアジア太平洋・中南米地域はほぼ横ばい

新たな構造改革「Pace」始動後初の決算で、ナイキのアジア圏は対照的な動きを見せた。大中華圏は為替影響を除いて26%減、日本を含むアジア太平洋・中南米(APLA)地域はほぼ横ばい。ナイキを扱う日本の小売や、原宿・銀座の直営店にとっても見過ごせない差だ。

嵐の曇天で人影のまばらな街並みと、穏やかな陽光の下を買い物客が歩く街並みに二分された都市の景色を描いたイラスト。
イラスト:floortok.com

ナイキは10月1日、2026年8月31日に終了した2027年度第1四半期の売上高が112億ドルとなり、前年同期比で名目4%減、為替の影響を除くベースでは5%減になったと発表した。主力の「ナイキ」ブランドの売上高は110億ドルで同じく4%減。大中華圏と欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域の減少を、北米の増加では一部しか相殺できなかったという。

販売チャネル別では、卸売(ホールセール)が68億ドルで1%減、自社店舗・デジタルを含む「ナイキ・ダイレクト」が41億ドルで名目8%減(為替調整後9%減)、「コンバース」が2億6,300万ドルで28%減だった。

今回の決算で最も際立つのが地域別の差だ。北米の売上高は51億3,000万ドルで前年比2%増、EMEAは31億8,000万ドルで5%減。大中華圏は11億8,000万ドルで、名目22%減・為替調整後26%減と全地域で最も大きく落ち込んだ。一方、日本を含む(ただしナイキは国別の数値を開示していない)アジア太平洋・中南米(APLA)地域は14億6,000万ドルで、名目2%減・為替調整後はほぼ横ばいの0%だった。事業利益(EBIT)でも傾向は同様で、大中華圏は34%減の2億4,800万ドル、APLAは7%減の3億2,400万ドルにとどまった。

売上原価率の改善により売上総利益率は0.6ポイント改善し42.8%、販売管理費は3%減の39億ドルだった。純利益は約7億ドルで2%減、希薄化後1株当たり利益は0.48ドル。2027会計年度通期の見通しとして、売上高は1桁台後半の減収、調整後の希薄化後EPSは1.15〜1.35ドル(Pace関連の再編費用約0.15ドルを除く)を見込むとした。

同社は今回、2026年3月に発表したコスト再編計画を土台とする新たな事業モデル変革「Pace」の詳細も明らかにした。サプライチェーンの見直しやインドの新キャンパス設置、「3つの地域への再編」(具体的な区分は非公表)、組織のさらなるスリム化などを含む。2031会計年度までの累積コスト削減効果は約25億ドル、関連費用は主に人員関連で約10億ドルを見込み、このうち約3億ドルは2026会計年度に、さらに約3億ドルが2027会計年度に発生する見通しだという。エリオット・ヒルCEOは「スポーツ・オフェンス戦略は主力事業で着実な成果を上げている」と述べる一方、「ナイキ スポーツウェア、ジョーダン ブランド、大中華圏ではまだやるべきことが残っている」とも語った。ただし発表資料には、ナイキ スポーツウェアやジョーダン ブランド単体の売上・利益の数値は示されていない。

ナイキは一度も日本単独の数値を開示しておらず、ここで示せる日本固有の数字はない。それでも、大中華圏が大きく崩れる中でAPLA地域がほぼ横ばいを保ったという事実そのものが、ABC-MARTのような取扱小売店や、原宿・銀座の直営店を含む日本の現場にとって意味のある指標だ。通期見通しを下げてもなお、日本を含むこの地域の需要は同社のもう一つの主要アジア市場に比べて底堅さを保ったことになる。残る問いは「3つの地域への再編」が最終的に何を意味するのか——ナイキはその3地域がどこで区切られるかをまだ明らかにしていない。

ナイキ 2027年度第1四半期 地域別売上高(前年同期比)

前年同期比(%、ドル報告ベース)

+2%北米−5%EMEA−22%大中華圏−2%APLA
ナイキ・インベスターリレーションズ · 作図:floortok