パレスホテル東京、学芸員監修のファッションツアーを組み込んだ2泊37万2000円の宿泊プランを発表
パレスホテル東京が、ドーバー ストリート マーケットや和光をはじめ、銀座・代官山・表参道の計9カ所を巡る学芸員監修のプライベートツアーを組み込んだ2泊の宿泊パッケージの予約受付を開始した。値引きではなく「アクセス」そのものに37万2000円(2名利用)という価格をつけた格好だ。

パレスホテル東京は、学芸員監修のプライベートツアーを組み込んだ2泊の宿泊パッケージ「Couture Tokyo: The Art of Japanese Fashion」の予約受付を7月22日から開始したと発表した。2名利用で37万2000円からの設定だという。
同ホテルによると、この料金(消費税10%込み)には別途サービス料15%と東京都宿泊税(1人1泊200円)が加算される。内容には2泊分の宿泊、朝食、レストラン「和田倉」でのコース懐石ディナー(故・高田賢三氏にインスパイアされたというしゃぶしゃぶのコースを含む)、テキスタイルブランド「鈴縞(suzusan)」がホテル向けに製作した特製トートバッグが含まれる。予約は空室状況によるが、最低14日前までに行う必要があるという。
パッケージの目玉は、ファッション・ラグジュアリー文化を専門とする研究者、中野香織氏が監修した3〜4時間の専用車付きプライベートツアーだ。ガイドが中野氏の選定したルートを案内するプランのほか、追加料金で中野氏本人が同行するプランも用意されているという。別途、半日のカスタムツアーも選べる。ホテルが公表したルートは、銀座(1947年創業の和光、ドーバー ストリート マーケット)から代官山(現在は芦田多恵氏が率いる芦田淳の旗艦店、MIZEN TOKYOのアトリエ&ショールーム)、さらに表参道・裏原宿エリア(キモノ大和、KIMONO ARCH、Y. & SONS、コンテンポラリーブランドのCFCL、バッグ・アクセサリーのPORTER)を巡る構成となっている。
この企画が売っているのは値引きではなく「体験」そのものだ。五つ星ホテルが自らのコンシェルジュ機能を、外部専門家の権威づけを借りた小売キュレーションツアーへと仕立て直しており、これはプロダクトというよりプロモーション・プレゼンテーションの打ち手と言える。ホテル自身が対象各店の商品を販売するわけではなく、あくまで学術的な文脈づけを添えた「アクセスそのもの」を売っている点が特徴で、1947年創業の老舗百貨店から現代的なブランドCFCLまで、日本のファッションの複数世代にまたがる構成でもある。37万2000円というこの価格は、本誌が言う「ホテルコンシェルジュ・チャネル」――各ブランドが求める高額消費のインバウンド客を店舗へと橋渡しする、高付加価値な送客経路――のわかりやすい一例であり、ここでは価値の流れがホテルから店舗へと向かっている点が興味深い。