floortok

Journal

·
ニュース

プラダグループ、日本の売上が改善 ヴェルサーチェは新体制ミュリエ着任後初の業績を開示

プラダグループの2026年上半期の売上高は前年同期比16%増の30億5000万ユーロ。日本は四半期ごとに改善が見られた数少ない市場の一つとなった。傘下入りしたヴェルサーチェも、新クリエイティブディレクターのピーテル・ミュリエ着任後初の業績を開示した。

編集イラスト — A hushed, dimly-lit luxury boutique interior with polished stone floors and glowing glass display cases, evoking the calm of a flagship sales floor after a strong reporting period.
イラスト:floortok.com

プラダグループは7月30日、取締役会で承認した2026年上半期(1〜6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比で現地通貨ベース16%増の30億4800万ユーロ。このうち事業の大半を占める直営店売上高は12%増の26億3300万ユーロだったが、四半期ごとの伸びにはばらつきがあり、通貨影響とヴェルサーチェの新規連結を除いたオーガニック成長率は第1四半期のわずか1%から第2四半期には5%へ加速した。

日本は米州、アジア太平洋地域と並び、四半期ごとに改善が見られた数少ない市場の一つだったという。上半期の日本における直営店売上高は2億8800万ユーロで、実勢レートでは円高の影響もあり前年から7%減となったが、現地通貨ベースでは6%増、オーガニックベースでも2%増加した。同社は第2四半期の改善について、国内消費の底堅さと訪日客による購買の増加を挙げている。これは、現地通貨ベースで37%増(オーガニック17%増)の米州、15%増(オーガニック6%増)のアジア太平洋地域と並ぶ好調な地域である一方、中東地域は地域紛争の影響が続き24%減、欧州も5%増ながらオーガニックでは4%減と、なお本格回復には至っていない。

ブランド別では、プラダ本体が上半期に直営店売上高3.3%増、第2四半期には6.3%増へ加速し、グループ平均を上回った。同社は全カテゴリーでの正価販売の広がりが背景にあるとしている。一方、ミュウミュウの伸びはより緩やかで、上半期2.5%増、第2四半期2.6%増にとどまった。前年同期(2025年第2四半期)の直営店売上高が40%増という高水準だったことに加え、中東地域への売上依存度が相対的に高いことが影響したという。

ヴェルサーチェ、新体制へ

2025年にプラダグループ入りしたヴェルサーチェについて、今回初めてグループの決算開示の中でその業績が明らかにされ、上半期の売上高は3億500万ユーロだった。グループのアンドレア・ゲッラ最高経営責任者(CEO)は「ピーテル・ユリエのヴェルサーチェへの着任は、ブランドの新たな創造の旅の始まりを意味する」と述べた。ミュリエは7月にクリエイティブディレクターとして着任した。

ヴェルサーチェの連結が業績に与えた影響は利益面にも表れており、調整後EBITマージンは前年の22.6%から17.4%に低下した。ネットキャッシュだった前年から一転し、上半期末の純有利子負債は6億9300万ユーロとなった。同社はこの変化について、ヴェルサーチェの連結と為替の影響に加え、4億300万ユーロの配当支払いや2億4700万ユーロの資本支出など、投資を継続してきたことによるものだとしている。

日本のラグジュアリー小売や百貨店の売り場運営を担う関係者にとって、プラダの地域別データは、今回の決算シーズンに相次ぐ欧州ラグジュアリー各社の開示に見られる傾向をさらに裏付けるものといえる。年明けは低調だったものの、国内消費と訪日客双方の底上げにより第2四半期にかけて改善が進んだという構図だ。ただし、その基盤がどこまで強固かは別の問題であり、グループ全体の第1四半期のオーガニック成長率がわずか1%だったことは、国内需要か訪日需要のいずれかが再び弱まれば状況が一気に反転しうることを示している。ヴェルサーチェにとっての課題は、数字そのものよりも、新たなクリエイティブ体が東京や大阪の店舗においても、過去に他のラグジュアリーメゾンの立て直しで実証されたような効果を生めるかどうかあり、それはプラダ自身が「ポジティブ」とだけ評する市場を、成長市場へと転じさせられるかにかかっている。

プラダグループ 2026年上半期・地域別直営店売上高成長率

前年同期比(現地通貨ベース、%)

+15%アジア太平洋+5%欧州+37%米州+6%日本−24%中東
プラダグループ 2026年上半期決算資料 · 作図:floortok