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資生堂、東京都産グリーン水素を使った非売品リップバーム「TOKYO LIP BALM」の開発に協力

店頭に並ぶことのない非売品だが、資生堂が東京都の普及啓発事業に協力した今回の取り組みは、国内最大手の化粧品会社が都の産業政策の担い手とどう関係を築いているかを示す小さな、しかし具体的な事例だ。

百貨店の化粧品カウンターに並ぶリップバームを描いたフラットベクターイラスト。遠景には水素タンクらしき産業施設のシルエットと立ちのぼるわずかな蒸気、小さな金色のアクセント。
イラスト:floortok.com

資生堂は、東京都が主導する、都内産グリーン水素を活用して製造した原料を使う化粧品の共同開発プロジェクトに参画したと、今月付の発表資料で明らかにした。資生堂はプロジェクト内で原料監修・評価と処方開発を担当したほか、デザイン・プロモーション制作も手掛けたとしている。これはかつて子会社の資生堂クリエイティブが担っていた機能だが、現在は資生堂自身が直接担うという。

完成した製品「TOKYO LIP BALM」は非売品で、東京都が11月4日から都内で開催するイベントのほか、大田区の東京都京浜島グリーン水素製造所、江東区の水素情報館「東京スイソミル」で計3万本を無料配布するとしている。リップバームの保湿成分である水添ポリイソブテンは、都内産グリーン水素を使用する工程で製造されたという。原料は日興リカ、中味・容器は株式会社トキワ、パッケージ印刷は二和印刷株式会社がそれぞれ担い、東京都が全体の調整とグリーン水素の供給を担当した。

水素製造所の見学施設で無料配布される製品は、通常の意味での小売の話題とは言い難い。だが今回の取り組みは、資生堂がどこに自らの存在感を示したいかを物語っている。店頭の主力ブランドに注ぐのと同じ処方・パッケージのノウハウを、配布専用の非売品に差し向け、東京都がグリーン水素を産業政策として推進する動きに寄り添う格好だ。全国のほぼすべての百貨店の化粧品フロアを支える企業にとって、都のエネルギー政策を形づくる担当者たちへの露出もまた、一種の「売場」なのかもしれない。