髙島屋、上期増益で通期計画と配当を上方修正 金融事業は中間持株会社へ
髙島屋は10月15日、2026年8月までの中間期に円安を背景としたインバウンド需要の増加もあり連結営業利益が16.4%増加したと発表した。同日、通期の業績予想と配当予想を上方修正したほか、金融事業を統括する中間持株会社の設立も決議した。

株式会社髙島屋は10月15日、2027年2月期第2四半期(中間期、2026年3月1日〜8月31日)の連結営業利益が前年同期比16.4%増の275億円になったと発表した。同日、通期の業績予想と中間配当予想をそれぞれ上方修正した。連結営業収益は3.7%増の2,441億円。一方、親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期に計上した固定資産売却益の反動により24.5%減の160億円となった。
主力の国内百貨店業が牽引した。営業収益は1.9%増の1,491億円、営業利益は30.2%増の125億円。円安を背景にインバウンド需要が増加したことに加え、大半を占める国内顧客売上高も堅調に推移した。直営店の店頭インバウンド売上高は519億円と、4月時点の計画(425億円)を大きく上回る18%増となった一方、中国のシェアは前年の56%から47%へ低下し、他地域の伸びが目立った。もっとも、利益率の低いラグジュアリーブランドの売上高が他の商品を大きく上回って伸びたことで、総額売上高ベースの商品利益率は前年実績を下回った。それでも売上高の増大により売上総利益は増益を確保し、光熱費や物流費などのコスト削減も進めたことで販管費の増加は抑えられた。
海外は現地通貨ベースではまちまちだったが、円換算では総じて改善した。シンガポール髙島屋は現地通貨ベースで減収減益だったが、円安の影響で円貨ベースでは増収増益となった。上海高島屋は新規テナントの誘致効果で黒字転換し、開店10周年を迎えたホーチミン髙島屋は子供用品・化粧品の販売強化で増収増益となった。タイのサイアム髙島屋は赤字幅を縮小した。商業開発事業も伸びており、国内の主力施設「玉川髙島屋S.C.」は2027年のグランドオープンに向け改装が進行中。海外商業開発業はベトナムが牽引し、2027年秋開業予定のハノイでの複合開発事業に加え、ホーチミンのサイゴンセンターの増床計画も本格化しつつある。
上期の好調を踏まえ、2027年2月期通期の連結業績予想を上方修正した。営業利益は4月予想の575億円から2.6%増額し590億円とし、経常利益は570億円から600億円(同5.3%増)とした。一方、純利益の予想は380億円で据え置いた。これは前期(2026年2月期)に計上した82億円の最終赤字から黒字転換する計画となる。前期の赤字は主に転換社債の買入消却に伴う一時的な特別損失が要因だったと、同社の決算説明資料は説明している。配当については、中間配当を4月予想の20円から22円に増額決定し、期末配当予想も同額引き上げて22円とした。これにより年間配当予想は44円となり、4月予想から4円の増配、前期実績の34円を大きく上回る水準となった。累進配当方針に沿った対応だ。
金融事業は中間持株会社へ
髙島屋はこれとは別に、金融事業を統括する中間持株会社「株式会社髙島屋ファイナンシャル・ホールディングス」を、会社分割(簡易新設分割)により2027年3月1日付で設立することを取締役会で決議した。傘下に入るのは、カード・決済事業の髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ、プライベートバンクサービスに強みを持つヴァスト・キュルチュール、中小企業向け融資のクレイキャピタル、ほがらか信託の4社。同社は、これまで個別に成長してきた金融関連子会社の戦略立案・経営管理機能を一元化し、金融規制の高度化が進むなかでガバナンスとリスク管理体制を強化するとともに、カード・資産運用相談・投融資の各事業で人材や顧客基盤をより機動的に活用する狙いだと説明している。髙島屋はこの再編を、百貨店・専門店・金融・海外事業の垣根を越えた「グループのシームレス化」という大きな方針の一環と位置づけており、創業200周年を迎える2031年に向けた布石としている。
この日の一連の発表をまとめると、インバウンド主導の好調な上期を追い風に、増配の原資を確保しつつ拡大する金融事業の組織を整理した格好だ。一方で主力の売場は、円安が日本の百貨店に突きつけ続ける構図――単価は高いが利益率の低いラグジュアリー品を好む訪日客――から逃れられていない。今回の実績は、商品利益率が低下するなかでも売上総利益・営業利益がともに伸びたことを示しており、今のところ「量」が利益率低下を補っている形だ。インバウンドの構成がさらにラグジュアリー品へ傾いた場合にもこの構図が続くか、そして新設の金融持株会社が組織図の整理にとどまらない成果を生めるかは、通期を通じて注視すべき点だろう。
前年同期比(%)