髙島屋、店舗デザインの知見をベトナムの住宅内装事業として独立展開
髙島屋グループの内装子会社が、店舗づくりで培った知見をホーチミン市の富裕層向け住宅内装サービスとして切り出し、現地に完全子会社を設立した。

髙島屋は7月28日、ベトナムで富裕層向け住宅内装事業を開始し、ホーチミン市でモデルルームのオープニングセレモニーを開催したと発表した。
事業を担うのは、新設のホーチミン市の会社「TAKASHIMAYA INTERIOR LIMITED」。髙島屋の店舗内装を手掛ける東京の子会社、髙島屋スペースクリエイツ(TSC)が100%出資して設立した。資本金はわずか7万米ドルで、2025年6月に設立、2026年7月28日に事業を開始したという。
モデルルームは、ホーチミン市ニャベ県のセレスタ・アベニュー沿いにある高級住宅開発エリア内にある。ここはシンガポールのケッペルが開発した「セレスタ・シティ」の一角にあたる。オープニングセレモニーには、ケッペル側のセレスタ・シティ社長アルビン・リー氏に加え、新会社の岡崎一朗社長、TSCの山下恭史会長と河原恒志社長が出席したと髙島屋は明らかにした。
内装デザインはフランスのデザイン会社MCAとTSCが共同で手掛けた。髙島屋は、フランス流の華やかさとベトナムの感性に、日本の住宅で培われた収納・動線・耐久性の機能性を融合させたと説明している。
髙島屋は、世界のラグジュアリーブランドの内装を手掛けてきた経験と、日本特有の「おもてなし品質」を掛け合わせ、急速な経済成長で生活水準が向上するベトナムの富裕層需要を取り込む狙いだと説明。自社グループの事業基盤強化にもつなげたいとしている。
今回の動きは、ベトナム市場そのものというより、事業モデルの転換として読むべきだろう。日本の百貨店はこれまでも、自社フロアに入る高級ブランドの内装を含め、店舗づくりのノウハウを社内に蓄積してきた。髙島屋は今、その力を、ごく小さな資本金の子会社を通じて個人の住宅所有者に直接販売する形へと切り出した。百貨店出店という大きな投資に踏み切る前に、東南アジアの新興富裕層に「日本品質」がどこまでプレミアムとして通用するかを、低コストで見極める試みと言える。