東急・住友林業、170年の古民家を核とした木造商業施設「新綱島MICCA」を開業
東急と住友林業は10月28日、横浜市内に商業施設「新綱島MICCA」を開業した。1857年築の古民家を改修した建物と、新築の木造商業棟2棟を一体整備した施設で、低炭素な木造商業施設として、東急の沿線開発の他エリアにも展開しうるモデルとなりそうだ。

東急株式会社と住友林業株式会社は10月28日、横浜市港北区綱島東に商業施設「新綱島MICCA」を開業したと発表した。安政4(1857)年築の古民家を改修した建物と、新築の木造商業棟2棟からなる。敷地全体のマスタープラン策定と古民家の設計監修は、再生建築研究所が担った。
敷地面積は約6,659平方メートル。古民家を改修した「母屋」(かつて池谷家の住まいだった建物)は木造平屋建てで延床約348平方メートル。新築の「離れ南棟」(約1,394平方メートル)と「離れ北棟」(約1,209平方メートル)は、いずれも準耐火45分仕様の木造軸組2階建てで、3棟とも飲食店・物販店舗・オフィスなどが入る。東急は事業コンサルタントとして全体計画・推進を担当し、住友林業が離れ2棟の設計・施工を手掛けたほか、敷地にシダレザクラを寄贈した。
古民家は2024年1月に横浜市から歴史的建造物として認定され、同年11月には景観重要建築物等にも指定された。改修工事は2025年2月に着工し2026年9月30日に完了、新築木造棟2棟の工事は2025年5月から2026年10月1日にかけて行われた。両社は、資材調達から解体までの資材由来のCO2排出量(エンボディドカーボン)を算定する「One Click LCA」というツールを用いて試算したところ、同等の鉄骨造と比べ約34%低減したとしている。構造材や内装材、合板などに使用した木材は約829.1立方メートルで、これにより約703.31トンのCO2を炭素として固定しているという。
木造の商業施設を成立させるには、耐火性能を満たす軸組と細部の工夫が必要で、低炭素化を競う開発各社の間でも木造商業施設が国内で依然として珍しい理由の一つとなっている。駅前の価値ある土地にある老朽建物は取り壊されるのが一般的な選択肢だが、東急は今回、歴史的建造物に認定された古民家を解体せず、低炭素な新築木造棟と一体整備することで両立させた事例を完成させた形だ。テナント誘致や集客に結びつけば、東急と住友林業が沿線の他の商業開発でも再現しうるモデルとなる。