ゼニアグループ、上期直営(DTC)比率86%に上昇 卸売は縮小続く
ゼニアグループの2026年上期売上高は前年同期比6.4%増となり、直営店・ECを合わせたDTC比率はブランド商品売上高の86%に上昇、卸売は縮小が続いた。中核のゼニアブランドが牽引する一方、日本の百貨店メンズ売場でも支持の厚いトム ブラウンは減収となった。

イタリア・ミラノ上場の高級ブランドグループで、ゼニア、トム ブラウン、トム フォード ファッションを傘下に持つゼニアグループは、2026年上期(1〜6月)の売上高が前年同期比6.4%増の9億8730万ユーロだったと発表した。為替影響を除く実質ベースでは9.3%増となる。米証券取引委員会(SEC)に提出した決算資料によると、直営店とECを合わせた直営(DTC)チャネルの売上高は12.1%増の7億8280万ユーロとなり、ブランド商品売上高に占める比率は前年同期の82%から86%に上昇した。一方、卸売売上高は14.6%減の1億3170万ユーロにとどまり、構成比は18%から14%に低下した。
ブランドごとの明暗は鮮明だった。中核のゼニアブランドは11.2%増の6億3460万ユーロとなり、調整後営業利益率も0.5ポイント改善の14.8%と、グループ内で最も好調だった。2018年に完全子会社化したニューヨーク発のトム ブラウンは4.7%減の1億2310万ユーロにとどまり、調整後営業損益は830万ユーロの赤字。同社は卸売依存からの脱却と直営強化を進めているブランドと位置付けている。2023年にエスティローダーから取得したトム フォード ファッションは2.7%増の1億5680万ユーロとなり、営業損失は前年同期の1940万ユーロから1210万ユーロへと縮小した。
地域別では、米州が15.1%増の3億230万ユーロと最も伸び、中国本土を含む大中華圏が5.8%増の2億3610万ユーロで続いた。欧州・中東・アフリカ(EMEA)はほぼ横ばいの3億3000万ユーロ(+0.3%)。日本を単独では開示していない「その他アジア太平洋」区分は、報告ベースで5.4%増(実質ベースで13.6%増)の1億1760万ユーロだった。エルメネジルド・ゼニアCEOは声明で、「今回の上期実績は、各ブランドのアイデンティティの強さと顧客との直接的なつながりに根ざした、グループ戦略の有効性を反映している」と述べた。
卸売から直営へという流れは、日本の百貨店フロアに立つあらゆるメゾンが直面している構図と同じだ。彫刻的なテーラリングやクロップド丈のパンツで、日本の百貨店メンズ売場でも根強い支持を集めるトム ブラウンは、まさにこのチャネル転換の影響を受けやすいブランドと言える。グループ全体で直営強化が進めば、日本国内でどの店舗が同ブランドを扱い、どう見せるかへの統制も強まる可能性がある一方、ブランド単体の売上は現状減少に転じている。国別数値を開示していない同社の決算からは、これが日本国内でのトム ブラウン直営売場の拡大につながるかどうかまでは読み取れない。
前年同期比(%)