ZOZO、ZOZOTOWNの取扱高は伸びるも値引き・ポイント施策で粗利率が低下
ZOZOの中間決算では、主力ECサイト「ZOZOTOWN」の取扱高が伸び続け実店舗からのシフトが続く一方、値引きとポイント施策の強化で粗利率は低下。会計上の変更が見かけ上の売上高を小さく見せている。

日本最大級のファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは10月29日、東京証券取引所に提出した決算短信で、2026年4月から9月までの中間期の連結売上高が前年同期比5.1%増の1,106億円になったと発表した。営業利益は5.6%増の328億円、親会社株主に帰属する中間純利益は3.5%増の217億円だった。全社の商品取扱高(GMV)は3,094億円で前年同期比1.0%減となったが、ZOZOはこれを会計上の見かけだと説明する。2025年9月末で計上を終了したYahoo!ショッピングの一部ストア分の取扱高を除いた実質的な取扱高は、5.7%増だったという。
グループのGMVの4分の3以上を占めるZOZOTOWN単体の取扱高は、より安定した4.4%増の2,459億円、売上高(主に受託販売手数料)は4.1%増の756億円だった。同サイトは中間期に65ショップを新規出店し、閉店分を差し引いた純増は16ショップで、出店数は1,726ショップとなった。新規出店には、40代・50代向けのファッションブランド「DoCLASSE」や、イスラエル発のボディケア・バスブランド「SABON」が含まれる。年間購入者数は1,356万人に増え、9月に実施したセールイベント「ZOZOWEEK」の復活が新規会員の獲得を後押しした。
「賃料ゼロ」の競合は伸び続けるが、利幅は薄くなる
店舗の賃料も売場の人件費も抱えないZOZOTOWNは、オンラインのファッション小売がシェアを奪い続けるなかで、百貨店や商業施設のテナントが長年向き合ってきた比較対象そのものだ。規模の違いはあるものの、方向性は政府統計とも一致する。経済産業省の商業動態統計によると、8月の全国百貨店売上高は前年同月比1.9%増だった。一方のZOZOTOWNは4月から9月の半年間で4.4%増。期間は異なるが、どちらも同じ方向を指しており、オンライン専門小売が代替先となっている百貨店という実店舗チャネルを、依然として上回る伸びを示している。
今回新しいのは、利幅がどこに向かったかだ。売上総利益の伸びは取扱高の伸びより小幅で、粗利率は0.4ポイント低下して33.2%となった。ZOZOはその主因として、ZOZOTOWNでの値引きやポイント付与施策の強化、そして連結期間が前年より長くなったグローバル展開のファッション検索プラットフォーム、Lyst(手数料率が低い事業形態)の影響を挙げている。それでもZOZOTOWNの平均商品単価は第2四半期に前年同期比1.6%上昇しており、これは総務省の統計が示す同期間の衣類・履物価格の上昇率1.2%とおおむね同水準で、それを大きく上回ってはいない。つまり今回の利幅低下は、物価上昇によるものではなく、単価より販売量を取りにいった戦略的な選択と読める。
マーケットプレイス以外では、ZOZOは香りの総合プラットフォーム「カラリア」を運営するHigh Linkの完全子会社化を完了し、2026年5月から連結の範囲に加えた。既存のZOZOTOWN会員への香水関連商品のクロスセルを狙う。また同社は、上限300億円の自己株式取得プログラムのうち、中間期に191億円分を実施した。取得した株式は2027年1月に消却する予定。
これらはいずれも通期の業績予想を動かしておらず、4月の発表から変更はない。実店舗側への読みも変わらない。会計上のノイズを除いてもZOZOTOWNの成長は本物だが、それは単価の上昇ではなく値引きとポイントで買われた成長という色合いを強めている。総務省の統計で8月の衣類への家計支出が前年同月比8.7%減となっているように、日本の消費の後退がファッションのオンライン売場にも及べば、この戦略を続ける余地は狭まる。
前年同期比(%)