IHG、日本発のLINEミニアプリ予約チャネルをタイ・台湾へ拡大
IHGが日本で築いたLINEミニアプリ予約チャネル(フォロワー400万人超)を、タイと台湾に拡大する。LINEが圧倒的な存在感を持つ数少ない市場に、日本発の直販モデルを輸出する狙いだ。

IHGホテルズ・アンド・リゾーツは、日本向けに構築したLINEミニアプリによる直接予約チャネルを、タイと台湾にも展開すると8月14日に発表した。IHG社の発表による。
同社はホテル企業として初めて自社のLINEミニアプリを開発し、日本で先行導入したとしている。日本版のフォロワー数はすでに400万人を超えたという。同じ形式のアプリを、LINEが強い存在感を持つ市場であるタイ・台湾にも投入し、世界7000軒超のIHG系列ホテルの予約や、会員数約1億6000万人という会員制度「IHGワン・リワーズ」の登録・管理を、LINE上で完結できるようにするという。
今回の拡大は、LINEが日本国外でも根強く浸透していることを踏まえたものだ。IHGが引用したLINE側の数値によれば、月間アクティブユーザー数は世界で1億9500万人、タイでは5600万人、台湾では2200万人に上り、両国とも人口に対する普及率は94%に達するという。日本での圧倒的な存在感に匹敵する規模だ。
IHGは8月中、ゲーム性のあるアプリ内キャンペーンや、イラストレーター・ユニット「サンデーキッズ」が手がけた旅行がテーマの限定LINEスタンプなど、市場ごとの販促策も展開するという。東アジア・大洋州担当バイスプレジデントのディーン・ジョーンズ氏は「IHGは常に『初めて』を大切にする文化を貫いてきたが、デジタル戦略における今回の加速もその例外ではない」と述べた。大中華圏担当チーフ・コマーシャル・アンド・マーケティング・オフィサーのリタ・ジャン氏は、タイ・台湾のゲストについて「LINEの生態系に深く根付いている」と語っている。
ここで読み取れるのは、日本を「特殊な例外」ではなく「応用可能なひな型」として扱う発想だ。LINEを軸とした日本特有のネット環境で磨かれた予約の仕組みを、WhatsAppでも他のスーパーアプリでもなく、同じくLINEが圧倒的な存在感を持つ数少ない市場にほぼそのまま移植している。IHGにとっての狙いは利便性だけでなく流通コストの問題でもある。LINE上で予約や会員管理を完結させれば、旅行予約サイト(OTA)への手数料依存を減らせる。コロナ禍以降、ホテル各社が力を入れてきた直販強化の流れに沿ったものだ。タイ・台湾のゲストが、日本の400万フォロワーに匹敵する規模を築けるかどうかが次の焦点となる。