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分析

「推し」保有率33.6%に縮小、残った層の支出はゲーム2.6倍・アニメ2倍に インテージ調査

インテージの全国調査によると、「推し」を持つ人の割合は33.6%まで縮小した一方、残った層のゲーム関連支出は前年の2.6倍、アニメ関連支出は2.0倍に拡大した。百貨店やキャラクターグッズ売場にとっては、広く浅くではなく、少数の推しに絞って深く投資する戦略が問われる結果だ。

編集イラスト — 少数のタイトルに絞り込んで厚みを持たせたキャラクターグッズ売場。温かい照明の下、隙間なく並んだフィギュアや商品を眺める買い物客たち。
イラスト:floortok.com

自分が応援する「推し」(人物やキャラクターなど)を持つと答えた人の割合は33.6%まで縮小した。市場調査会社インテージが9月10日に公表した全国調査の結果による。一方で、推しを持ち続けている層の支出額は大きく伸びており、インテージ自身も今回の結果を「推し活二極化」と位置づけている。推し保有者は減っているのに、支出は増えているという構図だ。

調査は2026年1月14日から19日にかけて、自社パネル「マイマイティモニター」を通じ、全国の15〜79歳の男女5,000人を対象に実施。性別・年代・地域について国勢調査に基づくウェイトバック集計を行い、前年の調査結果と比較した。推しを持つ人の1人当たり年間平均支出額は、ゲーム関連が前年の14,116円から36,698円へと2.6倍、アニメ関連が11,259円から22,584円へと2.0倍に拡大したという。

支出が増えた理由(複数回答)としては、「グッズや関連商品の購入が増えたから」が45.7%で最多、「ライブやイベントへの参加が増えたから」が37.3%で続き、「推しへの愛情が深まったから」も36.1%に上った。一方で「物価上昇のため」を挙げた回答者は16.3%にとどまった。インテージの数字を見る限り、これは物価要因というより、ファン行動そのものが深まった結果とみてよい。

推し保有率の縮小は高年層で目立つ。前年比で見ると、男性70代がマイナス10.5ポイントと最も大きく落ち込み、女性70代がマイナス5.0ポイント、男性60代がマイナス3.8ポイントで続いた。対照的に、15〜19歳女性の推し保有率は75.9%と依然として突出して高い。15〜19歳男性では推しを持つこと自体は変わらないが、対象の中心が移っており、「YouTuber・VTuber」に代わって「アニメ」が首位に浮上、前年の16.2%から22.1%へと約6ポイント伸びた。ジャンル別の全体順位では「国内のアイドル」が9.4%で首位、「ミュージシャン・バンド」8.3%、「アニメ」7.4%が続く。

ファンの支出動向を軸に売場やMD(マーチャンダイジング)カレンダーを組む事業者――百貨店のキャラクターグッズ売場、アニメやアイドルのポップアップ運営者、コラボカフェなど――にとって、今回の結果が示すのは「何人集められるか」より「入店した1人からどれだけ引き出せるか」という論点への重心移動だ。商品戦略(Product)では、多くのIPを薄く並べるより、対象を絞り込んで数量・バリエーションともに厚みを持たせる方が理にかなう。立地・展開(Place)では、通年で固定した広い売場より、期間限定で規模を張る催事型の方が、縮小する推し人口に合う。販促(Promotion)では、支出増加の理由の3割超がライブ・イベント参加の増加によることから、グッズ展開をイベントと切り離さず連動させる設計が効いてくる。

残る論点は、今回はインテージの数字上まだ小さな要因にとどまっている物価上昇が本格化した際にこの構図がどこまで持つかということ、そして百貨店やイベント運営者が実際に「少数のIPに絞った大型催事」へと売場配分を切り替えられるか、それとも従来通り多数のIPに薄く広げ続けるかだろう。

推し活支出は急拡大、ゲーム関連がアニメ関連を上回るペースで伸長

推し1人当たり年間平均支出額(円)

02000040000前年今年+14116+36698+11259+22584ゲーム関連アニメ関連
インテージ · 作図:floortok