Jフロント10月度、百貨店事業売上高1.9%増 免税売上15.8%増も、梅田店の改装除くと5.2%増
Jフロント リテイリングの10月度百貨店売上高は前年比1.9%増、免税売上高は15.8%増だったが、大型改装中の大丸梅田店を除くと伸び率は5.2%に拡大する。免税客単価16.7%増についても、floortokの試算では円安の寄与が大きいとみられる。

J.フロント リテイリング株式会社は11月2日、大丸・松坂屋の百貨店事業における10月度売上高が前年同月比1.9%増となったと発表した。免税売上高は15.8%増、外商売上高も前年を上回って推移したという。月次売上速報による。大型改装で売場面積の縮小が続く大丸梅田店を除くと、同じ伸び率は5.2%まで拡大する。
対象となる百貨店15店舗のうち12店舗が前年実績を上回り、大丸心斎橋店(13.0%増)、博多大丸(15.0%増)、大丸札幌店(12.9%増)、大丸京都店(11.3%増)、松坂屋上野店(10.4%増)の5店舗が2桁の増収となった。唯一大きく落ち込んだのは大丸梅田店で、38.9%の減収。同社は、大型改装に伴う売場縮小に加え、前年に計上された大阪・関西万博関連売上の反動減が響いたと説明している。松坂屋名古屋店も既存店ベースでは8.7%減となったが、同店の商品売上高に周辺の定借テナント取扱高を加えた取扱高でみると6.2%増だった。
大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高は15.8%増(梅田店除くと20.2%増)。免税客数は0.7%減(同7.4%増)にとどまった一方、客単価は16.7%増(同12.0%増)となっており、増収のほぼ全てが客単価の上昇によるものだったことがわかる。免税売上を除く国内売上高は1.7%減(同1.7%増)、法人・本社等を除く店計売上高は2.5%増(同6.4%増)だった。
改装が隠す伸び率
見出しの1.9%と、梅田店を除いた5.2%との差は、今月限りの特殊要因というより、進行中の改装がもたらす構造的なギャップとみるべきだろう。総務省統計局によると、直近の確報値である9月の全国消費者物価指数(総合)は前年同月比2.1%の上昇だった。Jフロントが公表した百貨店事業の1.9%という伸び率は、この物価上昇率とほぼ同水準であり、実質ではおおむね横ばいとみられる。これに対し、梅田店を除いた5.2%の伸びは物価上昇率を明確に上回り、心斎橋店や京都店など個別店舗の2桁増収とも整合的だ。
免税客単価が16.7%増となった背景には、客側の事情だけでなく為替も働いている可能性がある。米連邦準備制度理事会(FRB)のデータによると、9月の円相場は前年同月比で、対米ドル5.8%、対韓国ウォン8.4%、対中国人民元12.3%、それぞれ円安方向に動いた。円安は、訪日客の自国通貨建ての予算が変わらなくても、円換算額を押し上げる。Jフロントの発表は免税売上高を国籍別には開示しておらず、16.7%の増加のうちどこまでが為替要因で、どこまでが客自身の消費意欲によるものかは、今回の資料だけでは判断できない。ただし免税客数がほぼ横ばいから微減にとどまっていることを踏まえると、floortokの見立てでは、この数字を押し上げたのは客単価の自発的な上昇よりも円安の寄与が大きいとみられる。
大丸梅田1店舗の4割弱の減収が、ほかの多くの店舗が増収、しかも複数店が2桁増収という状況下でグループ全体の数字を押し下げて見えるのは、梅田店がグループの中で大きな比重を占めているため、その改装が月次平均をおよそ3ポイント押し下げている構図といえる。改装後の売場がどこまで売上に転換されるのか――その答えが出るまで、Jフロントの月次速報はこの構図を前提に読まれ続けることになりそうだ。
前年同月比(%)