floortok

Journal

·
ニュース

JR東日本の共創拠点「LiSH」会員企業200社超に シンガポール拠点も同ブランドへ

JR東日本が高輪ゲートウェイシティで運営する共創拠点「LiSH」の会員企業が200社、進行中の実証実験が85件を超えた。今週はシンガポールの既存拠点も同ブランドに組み込み、新しい駅前フロアを商業施設やホテルだけでなく、スタートアップやR&Dテナントで埋めるモデルを海外にも広げた。

新しい駅前タワー内の共創フロアを描いたイラスト。ガラス張りの空間でシルエットの人物たちがスケッチや試作品を囲んで集まり、窓の外にはクレーンと高架の鉄道が見える。
イラスト:floortok.com

東日本旅客鉄道(JR東日本)は10月6日、自社ニュースルームで公開した発表で、東京都心の高輪ゲートウェイシティで運営するビジネス創造施設「LiSH(リッシュ)」の会員企業が200社を超え、進行中の実証実験(PoC)が85件を超えたことを明らかにした。あわせて、10月29日付でシンガポールの既存拠点「One&Co Singapore」を同じLiSHブランドに刷新し、「LiSH Singapore」として会員企業82社を、高輪の旗艦拠点を軸とするネットワークに組み込むことも発表した。

LiSHでは取り組みを3分野に分類しているという。ヘルスケア分野には東京大学発のスリープテック企業ACCELStarsなどが参加し、環境・農業分野ではJR東日本グループの農業子会社「JR東日本豊里創生」が米由来のバイオマスプラスチック開発に取り組む。モビリティ・ロボット分野では人型ロボットや水素燃料の自動運転車の開発が進むという。2026年3月に開設した秋田拠点も同じ枠組みで会員企業50社超を集めており、シンガポールはLiSHの名を冠する3拠点目、そして国外では初めてとなる。

高輪ゲートウェイシティは、旧品川駅の貨物ヤード跡地を転用したJR東日本最大級の再開発事業であり、同社が今後数十年にわたる駅周辺収益の柱と位置づける案件だ。この規模の案件を埋める定番の手法は、多くの日本の地権者がそうするように、商業施設とホテルを組み合わせることだろう。それに対しJR東日本は、新しいフロアの一部をスタートアップやR&Dテナント向けの有料会員制プラットフォームに割いている。これは、共創拠点というブランド自体を単なる集客の付加価値ではなく、輸出可能な事業として育てるという賭けだ。秋田での展開に続き、既存のシンガポール拠点を同じネットワークに組み込むことで、この手法が一つの旗艦拠点に限らず成立するかを試している。東急や小田急、東武といった他の大手駅ビル事業者も、自社の再開発計画を練るうえでこのテナント構成を注視するだろう。

JR東日本が公表していないのは、200社を超える会員企業のうち、どれだけが高輪ゲートウェイシティ内の長期的なスペースを確保しているのか、それとも負担の軽い会員制メニューにとどまっているのかという内訳だ。この数字こそ、LiSHがフロアを実際に埋めているのか、それとも会員数を積み上げているだけなのかを示す。